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大阪市内の築古ビルに、見慣れない社名のプレートが幾つも並ぶ光景がある。読売新聞と阪南大・松村嘉久教授の共同調査によれば、コロナ禍後の3年間で中国系法人677社が5棟のビルやマンションに本店登記を行ったという。10月16日に「経営・管理」ビザの要件が厳格化された直後でもあり、移住と登記を結ぶ回路が浮かぶ。
小さな建物に集まる登記、繰り返される“型”
古びた郵便受けが連なる雑居ビルの一室で、名刺と判子だけが静かに置かれている。共同調査が対象としたのは大阪市内の中国系法人9,660社で、そのうち登記が集中する上位5棟を分析したとされる。いずれも築30年以上、部屋数は数十室規模の建物で、ひっそりした外観とは裏腹に、法人の“住所”として機能していた構図が見える。
2022年から9月中旬までの3年間で、この5棟に登記したのは計677社とされる。資本金は666社、比率にして98.4%が500万円で横並びだった。事業目的には「特区民泊の運営」を掲げる法人が641社に及び、来日前の代表者住所が中国にあるケースが多いという。3年間で代表583人が日本に住所を移したとも伝えられ、短期間に同様の仕様が反復された構図が浮かぶ。
松村教授は、大半が実体の乏しいペーパー会社と疑われ、外国人経営者向けの在留資格「経営・管理」取得の足がかりになっていると指摘する。背後にはブローカーが介在する移民ビジネスの存在があるとの見立ても示した。これらの点は共同調査に基づく報告であり、公的統計として一体把握されたものではないことは念頭に置きたい。
厳格化の中身と猶予、何が変わり何が残るか
10月16日、政府は在留資格「経営・管理」に係る基準を見直した。事業規模は原則3,000万円以上に引き上げられ、少なくとも1人の常勤職員の雇用が必須となった。常勤職員は日本人や特別永住者などに限られ、留学生など他の在留資格は含まれない。さらに経営者側にはB2相当(例えば日本語能力試験N2など)の日本語能力が求められ、事業計画は中小企業診断士や公認会計士、税理士といった専門家の目で確認される枠組みになった。
改正の適用は一律ではない。施行日前日までに受け付けられ審査が続く申請には旧基準が適用される一方、施行から3年が過ぎる2028年10月16日以降は改正後基準を満たす必要がある。移行期間中の更新審査では、経営状況や基準に適合する見込みも踏まえ総合判断されるとされ、急転直下の一掃ではなく、段階的な絞り込みを狙う設計と映る。
厳格化の実施で、在留資格を目的とする“箱だけの会社”は抑止される可能性が高い。他方で、既に登記が集中した物件や特区民泊をうたう事業計画がどこまで整理されるかは未知数である。大阪の5棟で見えたパターンは他都市へ転移する恐れもある。現時点で確認されている範囲では、行政は要件の実効性確保と、地域での住まい・事業の実体確認をどう両立させるかが鍵となる。実務の透明化と継続的な検証が求められている。
