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衆院予算委の質疑が進む最中、やり取りが一気に加速した。2025年11月11日、高市総理が有志の会・緒方林太郎議員の求めにその場で応じ、平口洋法務大臣に「買春側の罰則」を含む規制の在り方を検討するよう指示した。長年の論点に、政治のハンドルが切られた瞬間だった。
国会で起きた即時指示
質問は端的だった。緒方議員が「売春の相手方を罰する可能性の検討を、後ろにいる法務大臣へ指示を」と迫ると、総理は数拍置いて「買春に係る規制の在り方について必要な検討を行うことを指示する」と明言した。委員会室での即答は、方針転換の合図として鮮烈だった。
直後に平口法務大臣が応じ、「所管の法務省で、近時の社会情勢を踏まえ売買春に係る規制の在り方を検討する」と答弁した。通常は省内の協議や与党内調整を経てから示される文言が、本会議場で連鎖する形で出そろった。速さは、優先度の高さをにじませる。
報道各社はやり取りを速報。質疑の一場面が、政策のスイッチを押す役割を担った格好だ。事実関係が短いフレーズで共有されるほど、解釈の幅は広がる。求められるのは、耳目を集めたスピードの向こう側に、法の設計図をどう描くかという視点である。
現行法が置く論点
売春防止法(1956年制定の法律)は、売春を助長・周旋・場所提供する行為を処罰の中心に据える。一方で、当事者本人の処罰は想定していない。違法とされる行為の構図を「周辺から締める」仕組みで維持してきた歴史があり、これが今日の議論の出発点になっている。
未成年の保護は児童買春・児童ポルノ禁止法(1999年施行の未成年保護の法律)が直接規制を担う。成人領域では、風営法や条例で周辺行為を抑止しつつ、買う側そのものは罰則の枠外に置かれてきた。保護と処罰の線引きが、社会通念の変化と折り合いをつけにくい領域でもある。
政府文書では、男女共同参画基本計画(ジェンダー施策の中期方針)に「売春防止法のさらなる見直しを含め検討」との記述が盛り込まれてきた。今回の委員会答弁は、この記述を具体的な作業指示へと移すワンステップと位置づく。次は対象範囲、立証、量刑設計といった技術の番だ。
スピードの意味とこれから
その場の指示は、優先課題であることを内外に示す効果を持つ。新設の罰則で臨むのか、既存法の改正で整えるのか、捜査現場の運用はどう整えるのか。対象行為の定義や「対価」の認定、匿名性の高い取引への対応など、制度化の入口で検討すべき項目は多い。
立法までの道筋は、おおむね省内検討、与党協議、関係者ヒアリング、条文化、国会審議という順序になる。制度は社会の実相に触れて初めて機能する。当事者支援や相談体制、教育・啓発の設計と一体で考えなければ、罰則は空回りする。罰だけでなく支援の回路も必要だ。
欧州の一部で広がる「ノルディックモデル(買う側を処罰する枠組み)」は、搾取の需要側に焦点を当てる発想だ。ただ、日本法は「私的領域への刑事介入」に慎重な伝統を持つ。人権と実効性の均衡、統計や現場知見の継続的な検証をどう仕組みに織り込むかが、核心になるはずだ。
速さが注目を集めたが、実装の細部こそが次の景色を決めていく。