自民と維新が合意　与党政策責任者会議を設置、審査を一気通貫へ

2025.10.29

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秋の薄雲が垂れこめた永田町で、与党の“心臓部”が静かに動き出した。2025年10月29日、自民党と日本維新の会の幹事長、政調会長、国対委員長が都内で顔を合わせ、政策決定の要となる新たな会議体の設置で合意した。名称は「与党政策責任者会議」。政府提出法案の審査を担い、連立下の意思決定を素早く一気通貫で進める狙いがにじむ。閣外協力の維新にも与党としての責任を明確化する枠組みで、週内に初会合が見込まれる。

与党の歯車をそろえる動き

29日の会談は、連立の「運転席」をどう設計するかを詰める場となった。出席した両党の幹事長、政調会長、国対委員長は、法案の入口から出口までを俯瞰する仕組みの必要性で一致し、政策管理の司令塔として「与党政策責任者会議」を立ち上げることで合意した。各党内の調整に加え、政府との往復を短くし、国会対策を含めた一体運用へ踏み出す形だと映る。

会議体は政府提出法案の審査を主な任務とし、与党内の見解をそこで整える。外で見えづらくなりがちな与党間の意思疎通を可視化し、政策判断の「責任の所在」を明らかにする狙いがある。閣外協力の維新を与党の意思決定回路に正式に組み込むことで、合意した政策を着実に立法へ落とし込む導線が描かれるとみられる。

初会合は週内の開催を目標に据える。臨機の課題が積み上がる中、審査段階の初動を早めることで、法案の提出時期の遅延や与党内の“二重決済”を避けたい思惑が浮かぶ。現時点で確認されている範囲では、今国会での主要案件に直結するテーマから順次テーブルに載せ、必要に応じて首脳級判断につなげる構えである。

政策責任者会議の役割と実務の回路

新設される会議は、政調会長ラインを中心に、幹事長・国対委員長が横串で加わる構図だ。政策の企画段階を所管する政調、党運営と選挙を束ねる幹事長室、国会日程と与野党交渉を扱う国対が同じ卓で情報を共有し、意見不一致があればその場で整理する。各党の意思決定の“時差”をなくし、法案の条文化や修正協議に至るまでの時間を圧縮することが狙いである。

政府提出法案の取り回しでは、担当省庁の説明に与党側が現場感を持って当たり、合意形成の節目ごとに合議していく。重要度の高い案件は、与党トップへのエスカレーション経路を明確にし、詰め切らなかった論点を先送りにしない。これにより、提出直前の混乱や与党内の修正要求の“逆流”を最小化する狙いが広がっている。

会談では、この会議体と並行して、実務者による政策調整の枠組みを別建てで設けることも決めた。個別テーマごとに関係部局が交差点をつくり、進捗と論点を横断管理する。関係者の説明によれば、当面は既存の調整会議と二重化しないよう役割を分け、実務ラインが詰めた成果を政策責任者会議で追認・判断する二層構造が想定されるとみられる。

連立合意が示す論点――「副首都」と献金の再設計

政策議論の土台には、10月20日に自民と維新が取り交わした連立政権合意がある。合意文書には、特定テーマで協議体を設けて検討を進める方針が明記され、「副首都」構想や企業・団体献金の扱いといった制度設計の重い課題が列挙された。新たな会議体群は、この合意を実装するための運用面の器として機能することになる。

「副首都」は、災害時のバックアップや行政効率の観点から、都市間の役割再編を含む幅広い検討が要る。政治資金の企業・団体献金については、禁止・制限の度合いと代替財源の確保、透明性の担保が常に表裏一体だ。合意が示した論点は具体的で、与党内の立場の差を埋める現実的な工程表づくりが問われる局面に入ったといえる。

現時点で確認されている範囲では、実務者枠組みが各テーマの進捗と論点の棚卸しを定期的に行い、政策責任者会議が政治判断を与える役割分担が想定される。閣外協力の維新を与党責任の回路に乗せる設計は、合意事項の実装に現実味を持たせる。仕組みが回り始めるかどうかは、最初の法案パッケージで可視化されるはずだ。