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捜査員が解析結果を確認し、手続きの段取りが固まっていく。新東名のトンネルで起きた追突で同乗者が骨折した件で、静岡県警は俳優の広末涼子さんを書類送検する方針を決め、11月13日にも送致する見通しだ。容疑は自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)。当初検討された危険運転致傷の適用は見送りになるとみられる。
現場で起きたこと
事故が起きたのは4月7日夕方、掛川市内の粟ヶ岳トンネル。広末さんの車は上り線を進行中に前方の大型トレーラーへ追突し、同乗していた男性が骨折した。本人も軽傷を負い、トレーラーの運転手にけがはなかった。現場は見通しがよく、渋滞もない時間帯だったという。
衝突の衝撃で車は左右の壁に当たり、最終的に車線上で停止した。ブレーキ痕は確認されず、車載データなどから加速の痕跡が重ねて裏付けられた。実況見分は7月に本人立ち会いで実施され、サービスエリアでの運転交代の経緯や走行位置、停止までの軌跡が丁寧に再現された。
当時の走行速度は180km超に達していたとされる。高速道路上での短時間の挙動は映像や記録を突き合わせても解釈の幅が残るが、速度超過そのものは争いが小さい。こうした事実関係を踏まえ、県警は加重な結果をもたらした過失の有無を中心に、送致に向けた処理を進めてきた。
立件の線引き
より重い危険運転致傷は、著しく危険な運転で車両の制御が困難な状態を作り出し、けがを負わせた場合などに問われる罪名だ。今回は高速道路での速度超過が焦点となったが、直線・勾配・交通状況といった環境要因の影響が大きく、要件に当たる「制御困難」を立証するハードルは高いと判断された。
一方、この容疑は注意義務違反で結果が生じたかを問う。前方注視、車間保持、速度管理といった基本の怠りが、同乗者の骨折という結果につながったかどうかが鍵になる。家宅捜索や車両の記録解析、本人立ち会いの再現作業は、その因果を具体的に積み上げるための工程だった。
危険運転の見送りは、重い処罰を志向しながらも適用範囲を乱さないという捜査側のバランス感覚の表れでもある。高速道路という特殊な環境では、過度な一般化が逆に裁判での立証を弱めかねない。事実を冷静に拾い、妥当な構成要件に落とす判断が優先された格好だ。
社会に残る宿題
今回の経緯は、速度管理の怖さを改めて映し出す。視界が開ける路線でも、前走車との接近は一瞬に生じる。ブレーキ痕が残らない停止は、ドライバーが制御を取り戻す前に事態が進行したことを示す。交通量が少ない時間帯でも、法定の枠を超える加速がリスクを増幅させることに変わりはない。
広末さんは事故後、活動休止を公表し、体調の回復に努める姿勢を示してきた。捜査は任意で続き、送致後は検察が処分を判断する。刑事と並行して行政処分が検討される可能性もあるが、いずれにせよ法の手続きは段階を踏む。関係者の証言や記録の整合が、最終判断の基礎になる。
交通の安全は法と運転者の習慣が支える。速度の数値よりも、その先にいる人の身体を思い浮かべる想像力が、事故の確率を下げる。静かなトンネルの壁面に残った傷跡は、記憶の中で長く乾きにくいままだ。