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埼玉県内で100件を超える侵入窃盗事件に関与したとみられるベトナム人グループのメンバーが、再び逮捕された。警察は、グエン・ゴック・ヴィエット容疑者ら3人が11月14日に春日部市の住宅に侵入し、現金や腕時計を盗んだ疑いを強めている。相次ぐ侵入被害のなかで、地域の暮らしをどう守るのかが問われている。
夜の住宅街を狙った周到な手口
容疑をかけられているのは、ベトナム国籍のグエン・ゴック・ヴィエット容疑者(26)ら3人だ。警察によると、3人は11月14日夜、春日部市内の住宅に窓から侵入し、現金2万4000円と腕時計2点などを持ち去ったとされる。この被害は、県内で続く一連の侵入窃盗のうちの1件にすぎない。
グループは事件のたびに、群馬県館林市内のコインパーキングに集まり、そこから車で埼玉県内の現場へ向かっていたと警察は説明している。見張り役と実行役に役割を分担し、住宅が暗く人影の少ない時間帯を狙って窓ガラスを割るなどして侵入していたとみられる。住民が就寝中や留守中の家を狙う、周到な行動パターンだった。
県内では10月以降、久喜市などで人の住まない空き家や、住宅街の一軒家が次々と狙われている。1晩に複数の家で窓ガラスが割られ、金品が盗まれる被害も確認され、警察は同じグループが車で各地を回りながら犯行を重ねた疑いがあるとみて捜査している。静かな住宅街が、いつ狙われてもおかしくない状況に置かれていた。
100件超の被害と地域が迫られる備え
埼玉県警によると、今年10月から先月にかけて県内外の住宅や空き家で確認された侵入窃盗は101件に上り、被害総額は2000万円を超えるという。警察は3つの犯行グループが関与したとみて、ベトナム人を含む20〜30代の男女11人を逮捕し、事件ごとの役割分担や指示系統を調べている。今回の再逮捕は、こうした一連の捜査の延長線上にある。
このうち7人はその後、春日部市の事件や不法残留の疑いで再逮捕され、自宅や関係先のアパートからは腕時計や模造刀など盗品とみられる物も押収された。グループは拠点を点々と変え、車体とナンバープレートが一致しない車を使って移動していたといい、県警は特別捜査班を組んで実態解明を進めている。足跡を巧妙に消そうとする組織的な手口が浮かび上がる。
連続窃盗が起きた地域では、高齢者を中心に「夜が怖い」との不安が広がる。埼玉県警は玄関や窓の確実な施錠に加え、補助錠や防犯フィルム、センサーライトの設置を勧め、近隣同士で不審な車や人物に注意を向けるよう呼びかける。国籍にかかわらず組織的な窃盗は起こり得る中、住民と警察が情報を共有し、地域全体で侵入の隙を減らせるかが問われている。
