東京理科大、ファイバー内で単一原子を選択励起し単一光子を導波 量子通信の光源統合に前進

東京理科大、ファイバー内で単一原子を選択励起し単一光子を導波 量子通信の光源統合に前進

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細いガラスの糸の横腹に、レーザーの細い光がそっと差し込まれる。埋め込まれた希土類原子の群れから、狙いすましたように1個だけが応える。東京理科大学の研究グループが2025年10月16日、光ファイバー内の単一原子を選択的に励起し、その場で単一光子を生み出して導波させることに成功したと発表した。量子暗号など光量子通信の要となる単一光子光源を、伝送系と同じファイバーで統合できる道が開けた格好だ。

ファイバーの側面から狙い撃つという発想

研究チームは、光ファイバー内部に添加された希土類原子の集団に対し、側面から集光した励起光を入射し、1個の原子だけを選択的に励起した。生成された単一光子は、そのまま同じファイバーに閉じ込めて集光・導波する。従来のように対物レンズで一度ファイバー外へ取り出し、再結合して流し込む手順を省けるため、結合損失の蓄積を抑えられると映る。

これまでの方式では、外部光学系に依存する結合効率の限界や安定化の手間が避けられなかった。今回の手法は光源と導波路をファイバー内で完結させるため、装置の小型化と堅牢化に直結する。実験では、単一原子が放つ光を同一ファイバーで回収して光子相関を測定し、遅延時間0での2次相関関数が0.5未満となることを確認した。単一光子であることの指標を満たし、狙いどおりの振る舞いが得られたといえる。

成果は2025年9月18日に学術誌Optics Expressにオンライン掲載された。大学は10月16日に公表し、清水魁人氏(2025年度博士課程3年)、長田朋助教、佐中薫准教授らが中心となったと説明している。佐中准教授は、光源とネットワークを同じファイバーで統合できる利点を強調し、量子ネットワーク設計の発想転換を促すと示唆した。

Nd3+がひらく波長の自由度

単一光子の源として選ばれたのはネオジム(Nd3+)である。Nd3+は近赤外から光ファイバー通信波長帯まで幅広い発光をもつため、目的に応じた波長選択がしやすい。つまり1種類の元素で、量子通信の多様な要件に合わせて設計の幅を持たせられる。材料選択の自由度が、将来のネットワーク統合の現実味を押し上げる。

デバイスは、Nd3+を添加したファイバーに加熱・延伸加工を施し、原子同士の距離が十分に離れた領域をつくることで単一原子を空間的に識別できるよう整えた。そのうえで側面から励起し、同一ファイバーで光を回収する。従来法に比べて光の集光効率が高いことも、光子相関の結果から実証された。外付け光学系の制約を受けにくい構成が効いたとみられる。

同グループは2023年にも、室温で光ファイバーから単一光子を直接発生させるコンセプトを示していた。今回の成果は、その流れを継ぐかたちで「どの原子を、どの場で励起し、どの経路で回収するか」を厳密に制御し、ファイバー内で閉じた循環へ引き上げた段階といえる。材料・波長・収集経路の三点が一体で動く像が浮かぶ。

光量子ネットワーク統合への一歩

光量子通信の実装では、単一光子光源と伝送路の結合損失がボトルネックになりやすい。今回の方式は、発生から導波までを同じファイバーで完結させることで損失を最小化し、システムの構成要素を削ぎ落とす。光源を点在させたノード間をそのまま接続できるため、量子鍵配送や中継器の設計に柔らかい解が増えると期待される。

量子ドットなどの単一光子源は高性能だが、極低温動作や精密な結合系を要する場合が多い。一方、ガラスファイバーを舞台にするアプローチは、既存の通信資産との親和性やコストの面で優位がある。もちろん、発光スペクトルの制御や雑音の抑制、大量生産時のばらつきといった課題は残るが、側面励起という発想が設計の自由度を押し広げた意義は大きい。

次の焦点は、選択的励起の再現性とスケーラビリティだろう。どのファイバーでも単一原子を確実に狙い撃ちできる工程設計、他の希土類元素への展開、時刻や偏光の自由度を備えた符号化方式との統合などが射程に入る。現時点で確認されている範囲では、通信路そのものが単一光子源になる未来像は、実証から実装へと確かに歩を進めていると映る。

参考・出典

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