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福島県の山間にある昭和村が、熊への備えに空からの「目」を導入した。村はNTTドコモビジネスが提供するセルラードローン「Skydio X10」を使い、10月から熊の出没情報に応じた上空パトロールを始めたという。約14分の飛行で熊1頭とイノシシ3頭を見つけた例もあり、人が山に踏み込まずに被害を防ぐ新たな試みだ。
山あいの暮らしと熊リスク、空から届く「見張り役」
人口の少ない山あいの村では、畑や集落のすぐそばまで熊が現れることがあり、見回りに出る職員や猟友会の負担は大きい。暗く足場の悪い山林に人が入って確認する従来の方法は、熊との遭遇リスクだけでなく滑落などの危険も伴う。山間地域では、担い手の高齢化も進み、同じやり方を続けることが難しくなりつつある。
こうした中で導入されたのが、通報を受けると役場などからすぐに飛ばせるドローンだ。村内で熊の目撃があれば、昼夜を問わずSkydio X10が現場上空まで自律飛行し、可視光カメラと熱を捉えるカメラで斜面や藪を細かく探す。熊を確認した際には機体に搭載したスピーカーで音を鳴らし追い払い、位置情報を基にわなの設置場所や獣道を把握する。得られたデータは村が公開する「有害鳥獣ダッシュボード」に反映され、住民や関係者が出没傾向を共有できる仕組みだ。山間の小さな村は、ドローンでどう熊と向き合おうとしているのか――その問いに対する具体的な手段が、ようやく見え始めたといえる。
セルラードローンが支える「昭和村DFRモデル」の現在地と課題
昭和村が使うSkydio X10は、携帯電話回線で通信するセルラードローンで、自律飛行や夜間飛行に対応する点が特徴だ。村は2025年夏から山岳遭難対応や設備点検で同機の運用を始め、衛星通信と組み合わせた夜間の人物探索や、補助者を置かないレベル3.5飛行の実証も重ねてきた。その延長線上で、今回は熊やイノシシなど有害鳥獣への対応にも活用範囲を広げた格好だ。ドローンが先に危険箇所へ入り、遠隔の職員が映像を確認することで、「まず人が現場へ駆けつける」従来の発想を反転させている。
NTTドコモビジネスは、この取り組みをドローンが真っ先に現場へ向かう「DFR(Drone as First Responder)」モデルと位置づけ、他の自治体への展開も見据える。一方で、高性能ドローンや通信環境の整備、操縦や運用に習熟した職員の確保には、一定のコストや時間がかかるのも事実だ。今後、同様の仕組みを全国へ広げるには、装備をそろえるだけでなく、地元の猟友会や住民との役割分担をどう描くか、限られた予算の中で誰がどの負担を引き受けるのかといった合意形成も欠かせない。昭和村の試みは、テクノロジーで安全を高めながら、地域が野生動物とどう付き合っていくかを問い直す出発点になりつつある。
