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年間約41億円を売り上げたとされる性風俗店グループの実質トップが、売春防止法違反の疑いで逮捕された。逮捕されたのは東京都港区在住の会社役員、国本健容疑者(53)だ。神奈川県警などによると、東京・横浜・川崎にまたがるソープランド9店舗で、女性と客が性交する場が提供されていた疑いが持たれている。巨額の売り上げの裏側で、どのような仕組みで人と金が動き、そのリスクが誰に押しつけられているのかが問われている。
川崎の個室で何が問われているのか
毎日新聞などの報道では、問題の一場面として、2025年11月17日に川崎市川崎区堀之内町のソープランド2店舗で起きた行為が焦点になっている。店側が女性従業員と客が売春することを知りながら個室を用意し、料金を受け取っていたとされ、こうした「場所提供」が売春防止法の違反容疑として立件された。
同じ日に行われた家宅捜索では店長らが先行して逮捕されており、今回の逮捕はグループの「上」をどこまで責任主体とみなすかという局面に踏み込んだかたちだ。売春防止法は、売春そのものよりも、あっせんや管理、場所提供を処罰の中心に据えており、現場で働く女性より管理側を重く問う構造になっている。
女性たちは店の「従業員」として接客を行う一方、警察はその一部を「売春」と認定し、管理側の刑事責任を追及している。堀之内町は古くからソープランド街として知られており、街の店に依存する労働者や周辺の商店も少なくない。取り締まりが強まるたびに、働き口を失う不安と、違法行為を見過ごせないという治安維持の論理が、同じ路地でせめぎ合っている。
9店舗と巨大スカウト組織「アクセス」の接点
国本容疑者は、東京と神奈川にまたがる9店舗のソープランドを統括するグループの実質的経営者とみられている。各店の売り上げは日々報告され、グループ全体として直近1年間で約40億9870万円に上ったと神奈川県警は把握している。規模だけ見れば、地方の中堅企業に匹敵する売り上げだが、本人は「自分には関係ない」と関与を否定していると伝えられている。
今回の捜査の入口になったのは、匿名・流動型のスカウトグループ「アクセス」からの女性紹介に関する情報だ。テレビ朝日などによれば、「アクセス」はSNSでメンバーを募り、全国の風俗店に女性を送り込んでいたとされる組織で、警視庁は2024年に特別捜査本部を設置してリーダーらを逮捕し、少なくとも70億円規模の収益を上げていたとみている。
今回のソープランドグループでも、「アクセス」側から紹介された女性が働いていたとされ、店側は女性を受け入れて売り上げを上げ、その一部を報酬「スカウトバック」として支払う構図が浮かび上がる。警察は、こうした資金の一部が違法スカウト組織や他の犯罪グループへと流れていなかったか、売春の場所提供とあわせて資金の流れを追及している。
相次ぐ摘発とソープランドの「グレーゾーン」
ソープランドは、風営法上は「個室を備えた浴場業」として、あくまで入浴サービスを提供する業種として位置づけられている。一方で、弁護士JPニュースなどが指摘するように、実際には性交を伴う営業も少なくないとされ、表向きの建前と現場の実態との乖離が長年「グレーゾーン」として放置されてきた。
近年は、このグレーの領域にメスを入れる動きが全国で強まっている。スカウトグループ「アクセス」をめぐる一連の捜査では、札幌や千葉など各地の性風俗店経営者が、女性を紹介され売春場所を提供した疑いで次々と逮捕された。今回の神奈川の事件も、こうした全国的な捜査線上に位置づけられる。
一方で、摘発の強化は、借金返済や生活費のために働く女性たちを、より見えない場所へ追いやる危険もはらむ。売春防止法が掲げる「保護と更生」の理念をどう具体化しつつ、巨大な風俗ビジネスとスカウト組織の結び付きを断ち切るのか。年間数十億円規模の金が動く今回の事件は、性産業をどのような枠組みで社会の中に位置づけ直すのかという、重い宿題を改めて突きつけている。
