本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。[私たちの取り組み]
板に売りが厚く乗り、ソフトバンクグループの株価が押し戻された。2025年11月12日の東京市場で一時大きく下げ、直近の上昇で積み上がった含み益を確定する動きが広がった。前日の四半期決算を受けた反動と、米国市場で主力ハイテク株が軟調だった流れが重なった格好だ。値動きは、巨額投資と財務の負担感、そのはざまで揺れる同社への視線の強さを映している。
揺れた株価、その背景
寄り付き直後から売りが先行し、前日までの上げで高値警戒感がにわかに強まった。年央以降の相場では、生成AI関連の思惑や持分先の評価見直しが追い風となり、株価は大きく水準を切り上げてきた。短期的な過熱感が残る局面で、外部環境の逆風が加わると、利益を確定する売りが優勢になりやすいという素直な展開である。
前日の米国市場では、主力ハイテク株がそろって下落する場面があった。日本株の寄り付きに波及したことで、国内の高ベータ（相場変動に連動しやすい）銘柄に調整圧力がかかった。決算発表直後は材料出尽くしとみた売買が交錯しやすく、特に投資収益に振れやすい銘柄では、外部要因がきっかけとなって値幅が出る。きょうの動きは、その典型に近い。
決算が示したもの
2025年11月11日に公表した7〜9月期決算では、未公開株などの評価益が寄与し、純利益は前年同期から大きく伸びた。OpenAI関連の公正価値評価の上昇が話題となり、翌営業日の寄り付きまで買い戻しを誘ったが、その後は利食いが優勢に転じた。投資先の評価見直しが収益に与える影響の大きさが、あらためて意識された格好だ。
同社の指標として重視されるNAV（純資産価値）は、保有資産の時価と純負債から算出する尺度で、投資会社の価値を映す物差しとされる。評価益が広がればNAVは膨らむ一方、市況悪化や金利上昇で逆回転する局面もある。今回の決算は攻めに転じる地合いを裏づけつつも、評価益主導の収益構造ゆえの振れ幅を、市場があらためて織り込む契機になった。
巨額投資と資金繰り、評価の針路
同社はAIインフラ整備を掲げる「スターゲート構想」を推進している。OpenAIなどと連携し、今後4年間で最大5000億ドルを投じる計画を公表し、米国を中心に大規模な計算資源と電源の整備を進める方針だ。資産成長の“攻め手”としての意義は大きく、技術基盤の主導権をにらむ長期戦略の柱になっている。
一方で、調達設計は市場の視線が最も集まる論点だ。報道では、プロジェクト・ファイナンス（大型インフラで使われる資金調達手法）の活用を含め、パートナーと出資・負債の按分を検討する動きが伝えられてきた。社債・劣後性資本の活用や保有資産の組み替えといった“守り”の選択肢を手元に置きながら、成長投資を前に進める。株式市場の評価は、このバランスの取り方により敏感になっている。
投資テーマとしての魅力と、金利・市況の変動がもたらす収益の振れ幅。ふたつの力が綱引きをするなかで、きょうの株価調整はポジションを一度軽くする動きでもある。決算で示した成長の芽が、資金面の裏付けとともにどれだけ持続的な収益に近づくか。次の四半期までの時間は、その見立てを積み上げる助走路になる。
板の動きはやや落ち着いたが、評価と資金を測る視線は当面途切れそうにない。
