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マイクに向き直った顧立雄国防部長の言葉が、立法院の会議室に落ち着いた声で響いた。「進入すれば、きちんと対応する」。19日、釣魚台列島周辺の中国艦艇や海警局船への姿勢をただされた台湾の国防トップは、そう明言した。尖閣諸島として日本が実効支配するこの海域をめぐり、台湾がどこに一線を引くのかが、改めて示された場面だった。
台湾国防部、「応変区」で中国船への対応を明確化
質疑に立ったのは、最大野党・国民党の賴士葆氏や第2野党・民眾黨の林憶君氏だった。2人は、釣魚台周辺で活動する中国の軍艦や海警局船を台湾側が追い払うのかと問いただした。これに対し顧部長は、台湾の防空識別圏内で接続水域の外側に設けた「応変区」(対応エリア)に入った時点で、状況に応じて「適切に処置する」と説明した。
さらに顧部長は、同じ区域に侵入した船の種類によって担当を分けると語った。相手が軍艦であれば国軍の艦艇が、海警局船であれば海上警備を担う海巡署がそれぞれ前面に立つという。日本が尖閣諸島として管轄し、台湾と中国も主権を主張する海域で、台湾は自国の主張を保ちつつ、軍と海上保安機関の役割を整理して示した形だ。
日本の「存立危機事態」発言と台海情勢の重なり
質疑は、台湾周辺だけでなく日本の立場にも及んだ。賴士葆氏は、高市早苗首相が台湾有事は日本の集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」になり得ると国会で述べた点を取り上げ、「台湾有事なら日本は出兵する」との意味かどうかを尋ねた。この概念は2015年の安全保障関連法で導入され、日本と密接な国が攻撃され日本の存立が脅かされる場合に、自衛隊が武力行使に踏み切れる枠組みとされる。
顧部長は「日本の首相に代わって答えることはできない」と前置きしたうえで、台海で武力衝突が起き、日本にどの程度の脅威が及ぶかによって、日本政府がその都度判断するという趣旨だとの見方を示した。高市首相はこの発言を撤回しない考えを強調しており、中国政府は強く反発している。台湾の議場では、日本の新たな安全保障のラインが、台湾有事とどのように結びつくのかを意識したやり取りが続いた。委員会を終えた議員たちは、海図の上に重なる各国の思惑を胸に、それぞれの席を後にした。