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深夜のモニターに各国首脳の顔が並ぶ。高市首相は10月24日深夜、英国とフランスが主催するウクライナ支援の有志連合・首脳会合にオンラインで参加し、就任後初の国際会議で日本の立場を示した。戦争の帰結が東アジアにも及ぶと指摘し、制裁と支援の継続を掲げた。
英仏主導の場で示した三つの要点
会合は英首相スターマー氏と仏大統領マクロン氏が呼びかけ、ウクライナのゼレンスキー大統領らが参加した。高市首相は各国から就任を祝された上で、日本の基本姿勢を簡潔に語り、初舞台での存在感を印象づけたと映る。
首相はまず、ロシアの侵略を「国際秩序の根幹を揺るがす暴挙」と強く非難した。次に、国際社会と足並みをそろえ、対露制裁とウクライナ支援を粘り強く進める考えを示した。骨格はぶれないという宣言である。
さらに、官民一体の復旧・復興支援で社会・経済の強靱化に貢献すると述べた。会合後には「良いメッセージを発信できた」と語り、初陣を手応えとともに振り返った。日本の関与を継続・拡張する意思がにじむ。
支援の中身と日本の役割
制裁と支援の両輪は、日本が積み上げてきた取り組みを次段階へ進める合図でもある。エネルギーやインフラの復旧、地雷除去や人材育成など、現場の回復力に直結する分野で、着実に成果を積む発想が前に出る。
官民連携の狙いは、単なる資金や物資の供与ではない。地域経済とコミュニティの自立を促し、再生した基盤を将来の成長につなげることだ。供給網の安定やデジタル化の推進も含め、継続可能な支援像が浮かぶ。
首相が「欧州を越えて影響が及ぶ」と説いた背景には、力による現状変更を許さないという原則がある。ウクライナ支援は価値の防衛であり、同時に東アジアの抑止と繁栄を守るための投資でもあるとみられる。
広がる舞台、初外遊へ
次の舞台は東南アジアだ。現時点で確認されている範囲では、政府はマレーシアで開かれるＡＳＥＡＮ関連首脳会合への準備を進めている。インド太平洋の要で連携を深め、地域の強靱化を打ち出す好機となる。
個別の首脳会談も調整が続くとみられ、海洋安全保障やエネルギー、経済安全保障が主要議題にのぼるだろう。今回の三つの要点を横串に、原則と実装をどう結び付けるかが、初外遊の評価を左右していく。
国内では政権運営の課題が山積するが、国際社会は待ってくれない。英仏と連携した第一声を起点に、欧米とアジアをつなぐ回路をどう太くするか。高市外交の実像は、これからの一手一手に色濃く現れていく。
