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カメラの前で声を少し強めながら、玉城デニー知事は事件への怒りを言葉にした。19日、県庁で報道陣の取材に応じた知事は、在沖米海軍の20代男性が今年6月に10代の少女へ不同意わいせつ行為をした疑いで書類送検されたことを巡り、女性の人権と尊厳を踏みにじる行為だとして、決して容認できないと強く訴えた。
知事が突きつけた責任 教育総点検を米側に要求
疑いが持たれているのは、在沖米海軍に所属する20代の男性だ。2025年6月、基地の外にあたる沖縄本島の屋外で、面識のない18歳未満の少女の体を触るなどしたとされる。少女が助けを求める声を上げ、男はその場から立ち去ったが、叫び声を聞いた人が110番通報し、県警は周辺の防犯カメラ映像や米軍からの情報提供を基に捜査を進めた。
県警は11月7日に男性を不同意わいせつ容疑で書類送検し、身柄は米軍の管理下にある。玉城知事は、米軍と日本政府に対し兵士教育の見直しと徹底を求めたと説明した。隊員の外出や飲酒を規制するリバティ制度などが十分に機能していれば防げたとの認識を示し、教育内容の総点検と人権尊重を徹底するよう強く迫った。また県は10日、米軍や沖縄防衛局、外務省沖縄事務所に電話で抗議し、再発防止策を申し入れている。
増え続ける事件と県民の不安
こうした事件は、統計の上でも増加傾向が続いている。沖縄県警のまとめでは、2023年に県内で摘発された米軍構成員の刑法犯は72件と、過去20年間で最多となった。翌年には73件へとさらに増え、不同意性交や強盗などの凶悪事件も含まれている。米軍は2025年4月から沖縄市などで自治体や警察との合同パトロールを始めたが、今回のような性犯罪はなお後を絶たず、対策と現実との溝が浮かび上がっている。
今回の事案について、県が詳細な説明を受けたのは発生から約4か月後だったという。玉城知事は、逮捕や送致の段階で自治体へ情報提供するという県警の方針に沿った運用だったとしつつ、被害少女が報道を望んでいなかったため、心情に配慮した対応が取られたと明かした。県には書類送検と同じ7日に連絡が入っており、事件の重大性と被害者のプライバシー保護の両立が改めて課題として浮かぶ。
米軍関係者による事件や事故が相次ぐ中で、基地の外で暮らす住民の不安は長く続いている。玉城知事は、県民が安心して生活できる環境を日米両政府が実効性ある形で整えてほしいと求め、被害者の心身の回復と支援の重要性も強調した。数字や抗議文だけでは信頼は戻らない。基地の周囲を歩く子どもや女性が、意識せずに夕方の道を行き交えるかどうか、その静かな日常こそが問われているように見える。
