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文部科学省が2024年12月20日に公表した「令和5年度公立学校教職員の人事行政状況調査」で、精神疾患を理由に病気休職した公立学校の教育職員は7119人だった。前年度（令和4年度）の6539人から580人増え、初めて7000人を超えた。数字の裏側で何が起き、学校はどんな余白を失っているのかが問われている。
「1人の不在」が教室の連鎖を生む
調査でいう教育職員は、教諭だけでなく校長や教頭、養護教諭などを含む。精神疾患による病気休職者は全体の約0.8%で、文科省の集計ではおよそ130人に1人の計算だ。校種別では小学校が3443人、中学校が1705人、高校が966人などとなり、負荷のしわ寄せが特に基礎段階の学校に集まりやすい構図が見える。
休職は、短期の病気休暇より長期の欠勤として扱われる仕組みで、代替の確保が追い付かないと授業編成や校務の分担が崩れる。実際、テレビ朝日などの報道では、休職した教職員の約2割に当たる1430人がその後に退職したとしており、復帰支援だけでは埋められない欠員の連鎖が起きうる。
要因は「指導」「人間関係」「事務」、では次の一手は
今回の調査では初めて、教育委員会に対して病気休職の要因を尋ねた。文科省は、上位に挙がったのが「児童生徒への指導」、次いで「職場の対人関係」、さらに「事務的な業務に関すること」だったと整理している。授業だけではなく、生徒指導や保護者対応、校務分掌が絡み合う現場の実態が、休職という結果に表れている。
一方で、要因が複数にまたがるほど「これを減らせば解決する」という処方箋は描きにくい。負担の山を小さくする業務見直しに加え、衝突しやすい場面を抱え込ませないチーム運用、相談の導線、復職後の配置や業務の段階調整といった組み合わせが要る。7000人超という数字は、教員個人の問題に回収せず、学校が抱える仕事の設計をどう更新するかという問いを突き付けている。
