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アプリに届いた警告を合図に、設置業者の電話が鳴りはじめた。テスラは、米国の規制当局と連携し家庭用蓄電池Powerwall 2の一部をリコールすると発表した。2025年11月14日、第三者製のセル不具合で過熱や発煙の恐れが判明し、対象機は無償交換となる。遠隔での除電が進み、安全確保を優先する対応が動き出している。
何が起きたのか
米国消費者製品安全委員会（CPSC、家庭用品の安全を監督する政府機関）は、特定のPowerwall 2が通常使用中に停止し、過熱や発煙、まれに炎が出るおそれを示したと公表した。報告は過熱22件、発煙6件、火災5件で、負傷は確認されていない。
対象は2020年11月から2022年12月に販売されたAC一体型の構成で、販売経路はテスラの公式サイトと認定設置業者だ。対策は交換で、側面の銘板に印字されたモデル名で識別できる。販売価格の目安は約8,000ドルとされる。
台数は約1万500台に及ぶ。リコールは迅速な進行を前提とするファストトラックで実施され、当局が効果を監視する。メーカーは欠陥の原因を第三者供給の電池セルにあると説明し、供給網の点検と現場対応を同時に進めている。
進む対応と安全確保
テスラは該当機のほぼすべてを遠隔で除電（内部の電気を抜いて稼働を止める措置）し、運転リスクを抑えた。アプリ通知で対象を案内し、残存エネルギーがある個体は技術者が現地で除電する。交換までは太陽光の発電は続くが、停電時のバックアップは一時的に使えない。
交換は撤去から設置まで無償で一括実施し、優先度を高く配車する。日程は通知後にテスラまたは認定設置業者がメールや電話で直接連絡して決める。今回の事象は特定の顧客グループに限定され、後継のPowerwall 3には影響しないと説明している。
ソフト更新で抑え込む道もある中で、今回は一式交換を選んだ。セル起因の不具合は部位ごとの切り分けが難しく、確実性を優先した判断と映る。分散型電源の安全は積み重ねで担保される。遠隔停止が機能し、現地交換へつなぐ手順が被害の広がりを抑える。
確認と備え
ユーザーはまずシステムをオンラインに保ち、アプリのメッセージで対象かどうかを確認する。銘板のモデル名でも識別できる。不明点があれば設置を担当した認定業者に連絡し、訪問前の待機中はバックアップに依存した運用を避けるなど、家庭内の電力計画を一時的に見直したい。
交換までの期間は、非常用ライトや携帯電源の状態を点検し、冷蔵庫など重要負荷の優先度を家族で共有しておくと安心だ。長時間の停電が想定される地域では、発電機や別のバックアップの手当ても検討し、復旧後はアプリの履歴で稼働状況を確認する。
アプリが最新でないと通知が届かないことがある。自宅のWi‑Fi接続やゲートウェイの通信状態を確認し、アクセスしづらい場所に設置している場合は、訪問予定に合わせて作業スペースを確保しておく。段取りを整えることが、交換作業の短縮と再開の早さにつながる。
