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東京都は、薄く軽いフィルム型のペロブスカイト太陽電池「Airソーラー」の開発を後押しする支援事業で、東京ガスなど4社のグループを採択した。2026年1月から12月にかけ、住宅の垂直壁面やベランダ、室内の壁や窓といった場所で、施工方法の信頼性と発電性能を評価する。住宅で設置や交換をしやすくする手法も検証対象だ。
屋根以外で発電する、という現実味
今回の実証が狙うのは、住宅の「空いている面」を電源に変えられるかどうかだ。ペロブスカイト太陽電池は、結晶構造を利用した次世代型の太陽電池で、薄く、軽く、曲げられる点が特徴とされる。屋根に置く従来型パネルだけでは拾いにくかった日射を、壁面やバルコニーなどでどこまで回収できるかが問われる。
評価の焦点は、発電量の大小だけではない。窓では接着工法や窓枠固定工法など複数の施工を比べ、設置場所ごとに「剥がれないか」「扱いにくくないか」といった運用面の確かさも確かめる。東京ガスは施工とデータ解析を担い、マクニカが開発、飯田グループホールディングスが実証フィールドを提供し、麗光が製造を担う枠組みだ。
補助の先にある課題は、交換と標準化
東京都の「Airソーラー社会実装推進事業」は、開発事業者が行う都内実証の費用を支援し、普及のボトルネックを早い段階で洗い出す設計になっている。助成は実証経費の2/3で、上限は4000万円とされる。採択はゴールではなく、量産や販売の前提になる「施工の型」と「保守の作法」を整える入口と言える。
制度側も、実証を点で終わらせない構えだ。都の資料では予算額を1億2000万円とし、申請は2026年3月31日まで受け付けるとしている。別の取り組みとして、都は2025年に東京体育館でAirソーラーを使った庭園灯の実証も進めてきた。住宅への展開が進むかどうかは、発電効率の競争に加え、現場で交換できる仕組みがどれだけ早く標準化されるかにかかっている。
