本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。
東京の朝、オフィス街に捜査員の足音が響いた。退職代行サービス「モームリ」を運営するアルバトロスが、弁護士に違法に業務をあっせんし紹介料を受け取った疑いが強まり、警視庁が関係先を一斉に捜索した。拡大してきた退職代行の姿に、法の線引きという影が落ちたと映る。
静寂のビルに走った捜索、浮かぶあっせんの疑い
2025年10月22日、品川区の本社前には朝の通勤客が行き交い、静かなビルに緊張が走った。捜査関係者の話として各社が伝えたところでは、警視庁はアルバトロス本社に加え、都内の法律事務所など複数の関係先に家宅捜索を実施した。現場の空気は張り詰め、出入りする車両を見つめる人の輪が広がっていた。
焦点は、退職の意思を伝える「退職代行」の仕事を弁護士に違法にあっせんし、見返りに紹介料を受け取ったとされる点である。弁護士法違反の疑いが持たれ、紹介の仕組みや金銭の流れ、実際の案件対応の実態がどこまで踏み込んでいたかが問われる。関係者の証言は錯綜し、事実関係の精査が続くとみられる。
さらに、退職の通知にとどまらず「残業代の請求」など法律に関わる交渉が行われていた実態を、捜査の過程で把握したとされる。警視庁は押収資料の解析を進め、他にも違法性のある事業がなかったかを慎重に調べる方針だとみられる。今後の立件の可否が、業界全体の慣行に波紋を広げそうだ。
鍵を握るのは「非弁行為」の線引き
弁護士法は、弁護士でない者が報酬目的で法律事務の仕事をあっせんすることを禁じている。また、代理や和解などの法律事務を業として行うことも許されず、いわゆる「非弁行為」として厳しく取り締まられてきた。今回の疑いは、まさにその境界に触れるもので、制度の射程が改めて問われている。
退職代行の多くは、本人の意思を伝える連絡代行にとどめ、交渉は行わないと説明してきた。モームリもこれまで、企業側との交渉には踏み込まないと主張してきた経緯がある。一方で、紛争化した局面での対応や弁護士への案内の仕方は、線引きを越えかねないとの指摘が根強い。現場では判断の難しさがにじむ。
特に、弁護士への紹介と紹介料の授受は、報酬目的のあっせんに該当し得るかが焦点となる。依頼者の利益を最優先し、透明な基準で外部専門家に接続する体制があったのか。仲介ビジネスの色彩が濃い場合、違法評価に直結しやすい構図が浮かぶ。実務がどのように設計されていたかがカギである。
広がる退職代行、揺れる企業と社会
モームリは谷本慎二社長が2022年に開始し、累計利用者数は4万人を超えたとされる。本人が直接職場に告げられない事情に寄り添う仕組みが支持を広げ、若年層や非正規を中心に、退職のハードルを下げた存在として定着しつつあると映る。利用者の声に背中を押された成長曲線が見えてくる。
一方で同社は2024年12月から、蓄積した退職理由データを活用し、職種や年代に応じた離職防止のアドバイスを企業向けに提供し始めた。退職を支援しつつ、企業の人材定着も支える二正面の事業展開で、データの使い方や利益相反の管理が問われていた。新旧の期待が交差する局面である。
今年4月には、弁護士への紹介料を受け取っているとの疑惑を一部週刊誌が報じ、議論が広がっていた。今回の捜索はその延長線上にあるとみられるが、公的機関の公式発表は現時点で確認されていない。結論は急がず、押収資料の解析と関係者聴取の行方を見極めたい。退職代行の社会的役割をどう磨くかも問われる。