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秋の首都で庁舎の窓口が早じまいする昼下がり、最新の世論調査が静かに波紋を広げた。米ワシントンポスト、ABC News、Ipsosの共同調査によれば、ドナルド・トランプ大統領の支持率は41％、不支持率は59％に達した。主要課題の評価も厳しく、不満が広がる一方で、次の中間選挙の情勢は拮抗したままと映る。
数字が映すいまの政権評価
調査は2025年10月24日〜10月28日に実施され、対象は全米の成人2,725人。オンラインで回収され、標本誤差は±1.9ポイントとされる。結果は2025年11月2日に公表され、トランプ大統領の仕事ぶりを「支持する」41％に対し「支持しない」59％が上回った。共和党支持層では依然として強固な支持が残るが、無党派層では不支持が優勢という輪郭が浮かぶ。
大統領権限の扱いに関する見方も厳しい。大統領が「権限拡大を進め過ぎている」とみる回答は64％にのぼり、制度の枠をめぐる警戒が広がっている。国の進路についても悲観が勝ち、現状を「かなり深刻に誤った方向へ」と捉える層は約3分の2に達した。数字の熱は低いが、長く続く不安の温度が伝わる。
経済の体感と支持のねじれ
政策課題別では経済への評価が突出して厳しい。大統領の経済運営を「支持」37％に対し「不支持」62％。現在のインフレについて「大いに」または「かなり」大統領に責任があるとみる層は59％だった。就任後の景気実感も二極化し、「良くなった」27％に対し「悪くなった」52％と後者が優勢。家計の実情では「良くなった」18％に対し「悪くなった」37％、「変わらない」45％が並ぶ。
生活の肌触りは数字の向こう側にある。ガソリン価格は下がった一方、食料品などの負担は大きく変わらないと感じる層が多いという。可処分所得の目減りが続く局面では、景気統計の改善を告げる見出しよりも、買い物かごの重さが支持の行方を左右しやすい。調査の経済評価の厳しさは、その日常の反映と映る。
野党への期待が伸び悩む理由
ただし不満の矢印は野党にまっすぐ向かない。人々は政治の「距離感」を厳しく見ており、「生活とズレている」との評価は民主党68％、トランプ氏63％、共和党61％だった。与野党ともに届かない感覚が強く、否定的な政権評価がそのまま対抗勢力の利得に転じない構図がにじむ。
次の議会選の姿も拮抗している。いま選挙があればと問う比例投票では、民主党46％に対し共和党44％で誤差の範囲の競り合い。強い不支持層では民主党が優位だが、「やや不支持」層は割れており、ここでの取りこぼしが野党に重くのしかかる。支持の流れは太い一本ではなく、細い支流の合流に左右される段階にある。
何が次を決めるのか
外交や治安、移民、連邦政府の運営など8分野で、いずれも多数が大統領の対応に否定的だった。なかでも通商関税は不支持が65％と根強く、移民対応も「支持」43％、「不支持」56％に割れた。イスラエル・ガザ情勢は相対的に評価が割れるが、全体には政権への厳しい眼差しが続いているとみられる。
今回の調査はIpsosのKnowledgePanelを用いたオンライン調査で、2025年10月24日〜10月28日に実施、成人2,725人が回答した。標本誤差は±1.9ポイント。制度と生活のはざまで、人々の評価は揺れている。曇天の午後、通りを行き交う足取りの重さのように、数字は静かに次の季節の行方を映している。
