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ワシントンの上院議員会館にざわめきが戻った翌朝、大統領の書き込みが火に油を注いだ。2025年10月8日 10:26、ドナルド・トランプ氏が自身のSNSに、コネティカット州選出のリチャード・ブルーメンソル上院議員を痛烈に非難し「調査を求める」と記したのである。前日、上院司法委員会でパム・ボンディ司法長官が証言台に立った公聴会の余熱が残る中での投稿だった。大統領の言葉は短くない余韻を残し、議会と行政府の緊張を一段と押し上げたと映る。
「調査を求める」—公聴会の余波で高まる緊張
2025年10月7日、上院司法委員会は司法省の監督公聴会を開き、証人席にはボンディ司法長官が座った。与野党の追及と応酬が続く場で、焦点は司法省の運営や判断の独立性に及んだ。現時点で確認されている範囲では、公聴会の詳細なやり取りは委員会の資料公開を待つ部分もあるが、監督機能の強化をめぐる緊張が会場に漂っていたことは確かだとみられる。
その空気が冷めやらぬ中、トランプ氏は翌8日朝に投稿し、ブルーメンソル氏の軍歴をめぐる過去の発言を「誇張だ」と断じ、「調査され、法の裁きを」と踏み込んだ。長文の中で、同氏を「上院最大の『ジョーク』」と揶揄する表現も用い、政治的対立を正面から加速させる語調だった。誰に有利なのか、偶然の高ぶりなのか、それとも必然の一手なのか—読み手にそう問う強度がある。
古い火種が再燃—軍歴発言と政治の現在地
ブルーメンソル氏は長年の公職経験を持つ上院議員で、1970年に海兵隊予備役に入隊した経歴がある。過去の選挙戦で軍歴をめぐる説明が議論を呼んだ経緯は周知の事実で、一部報道によれば、その後に説明の明確化を図ったとされる。今回の大統領の投稿は、その古い火種をあらためて掘り起こし、現在の政治対立の文脈に接続した格好である。
対立の舞台装置も整っている。司法省のトップには2025年に就任したボンディ氏がいる。司法の独立をどう担保するか、行政府の権限をどこで節度づけるかという問いは、委員会の監督権限と正面からぶつかる。過去の発言や来歴を素材に相手の信用性を削る戦法が、制度論の議論を覆い隠す。そうした構図が、今回の応酬から立ち上がる。
司法の独立は守られるか—制度と言葉のせめぎ合い
制度は静かに用意されている。上院司法委員会の監督公聴会は、司法省の方針や執務を検証する定例の場であり、証言録や資料が積み上がるほど、判断材料は厚みを増すはずだ。だが、政治の現場では速い言葉が遅い制度を上回り、強い表現が議論の射程を狭める。今回の大統領投稿も、詳細な法的主張より先に印象を刻む種類の言語である点が象徴的である。
一方で、手続の車輪は止まらない。委員会は証言と記録で事実を積み、必要ならば次の呼び出しや文書要求に進むだろう。大統領が外側から圧をかけ、議会が内側から点検し、司法省が答える。この三者の力学が、今後の数週間でどこに収束するのかが試金石になる。政治的修辞が制度の針路を上書きしないか—その見極めが問われている。
