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日米両政府は2025年10月27日から10月29日にかけてのトランプ米大統領の来日を最終調整している。27日に天皇陛下との会見、28日に新政権の首相就任が見込まれる高市早苗氏との初会談を軸に、同盟と経済の再設計を確かめる段取りだ。日程は政権発足に合わせ直前まで詰めの作業が続く見通しである。
皇居の表敬から始まる三日間
初日は皇居での会見が想定される。関係者によれば、トランプ氏が陛下と向き合うのは2019年5月に令和初の国賓として招かれて以来となる見通しだ。当時の穏やかな笑顔と馬車列の光景は、日米の距離を縮めた象徴として今も語られている。今回も礼節と率直さが交差する場面が浮かぶ。
28日には首相官邸での日米首脳会談が焦点となる。抑止力と対処力の実効性をどう上げるか、指揮統制の在り方や南西諸島での連携、さらには2プラス2を通じた実装が議題にのぼる公算が大きい。経済面では関税や基準の扱いを含む新たな枠組みの履行状況を確認し、供給網や先端半導体での協力を詰める展開が見込まれる。
同日、拉致被害者家族との面会や米海軍横須賀基地の視察、財界人との会合も調整が進む。人道と安全保障、そして投資と雇用という三つの軸を一日に凝縮させる構図である。拉致問題では被害者全員の即時帰国という日本の立場を改めて伝え、横須賀では海上抑止の象徴を示す狙いがにじむ。
権力移行のただ中で
舞台裏では日本の政権移行が進む。石破政権は退陣表明済みで、自民党総裁に選出された高市氏が国会での指名と組閣を経て新首相に就く段取りだ。官邸や外務省は、任命式や記者会見の日取りと海外要人の動線を重ね合わせ、警備や儀礼の負荷を最小化する工程表づくりに追われているとみられる。
首脳同士の初対面は、政権の色を一気に映し出す。高市氏は経済安保や防衛力強化を最優先に掲げる姿勢を示してきた。昼食会の形式で打ち解けた対話を演出しつつ、輸出管理や重要鉱物、AI・量子の連携に具体の道筋を置けるかが試金石となる。就任直後の発信力が試される局面である。
一方で、連立交渉や国会日程次第では、会談枠の入れ替えや滞在順序の微修正もあり得る。現時点で確認されている範囲では大枠は27日から29日だが、儀礼や儀式の重なりは小さくない。皇室行事や国会手続きと外国首脳外交が同時進行する稀な週であり、スケジュール運用の妙が問われる。
アジア歴訪の流れと日米の思惑
トランプ氏は20日にホワイトハウスで、東南アジア諸国連合の関連会議が開かれるマレーシア訪問後に日本入りする意向を記者団に伝えたとされる。29日には韓国に移る段取りで、中国の習近平国家主席との会談も水面下で調整が続くという。地域情勢の振幅を映す日程である。
米側は、対日投資やエネルギー、農産物を含む経済パッケージの実施を急ぎたい思惑が強い。日本側もサプライチェーンの強靭化や次世代半導体の国内投資を後押しする余地を探る。関税や基準のすり合わせが市場心理に直結するだけに、共同声明や首脳発言の一語一句が相場と企業行動を揺さぶる展開が広がっている。
安全保障では、同盟の核抑止の信頼性や台湾海峡・尖閣周辺の安定が共通の関心である。2月の首脳文書で示された路線を具体化し、共同訓練や装備協力の拡充に踏み込めるかが焦点だ。日本の新内閣がどこまで初動で速度を出せるか、29日以降のソウルや北京の動きも織り込みつつ、決着を探る場面と映る。
