国家安保の要と主張　トランプ氏、グリーンランド特使に州知事

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2025.12.23

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米国のトランプ大統領は2025年12月21日、グリーンランドが米国の国家安全保障に不可欠だと改めて訴え、同地担当の特使にルイジアナ州のジェフ・ランドリー知事を指名した。ランドリー氏は、州知事職は続けたまま「先頭に立つ」とSNSで意欲を示した。構想が現地の暮らしに落とす影は、過去の“買収”発言の時より濃い。

「売り物ではない」当事者が感じる温度差

特使任命は、米国の“関心表明”にとどまらず、相手側には領土問題の匂いとして届く。APなどによれば、デンマークのフレデリクセン首相とグリーンランドのニールセン首相は共同声明で、国境と主権は国際法に根差すと強調し、併合の議論自体を退けた。デンマーク外相は駐デン米大使を呼ぶ考えも示した。

一方で、グリーンランド側が求めているのは、投資や防衛協力を含む現実的な関係の更新だ。Reutersによると、グリーンランドの外相は米国側の言動が住民に不確実性を生んでいると示唆し、透明性ある対話と信頼の回復を課題に挙げた。政治のスローガンが先に走るほど、生活感覚は置き去りになりやすい。

特使の「兼業」が映す米国の狙いと限界

米国がグリーンランドを重視する背景には、北極圏の軍事・航路・資源が絡む。DWの検証記事は、現地の米軍拠点は運用可能なものとしてはピトゥフィク宇宙基地（旧チューレ空軍基地）1か所だと整理している。つまり、米国にとっては既存の防衛基盤を梃子に、影響力を広げたい舞台でもある。

ただ、州知事が「ボランティア」として外交任務を担う形は、制度上の正統性より政治的メッセージ性が前面に出る。任命が続く限り、デンマークやNATO同盟国との摩擦は積み上がり、投資や共同開発といった“協力の余白”も狭まりかねない。主権を守りたい側と安全保障を理由に急ぐ側の速度差を、誰が埋めるのかが次の焦点になる。

「売り物ではない」当事者が感じる温度差

特使の「兼業」が映す米国の狙いと限界

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