トランプとネタニヤフ、20項目和平案発表でガザ終結目指す

2025.09.30

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米国のホワイトハウスでトランプ大統領とイスラエルのネタニヤフ首相が会談し、日本時間の2025年9月30日にガザ戦闘の終結を目指す「20項目」の和平案が発表された。イスラエルは受け入れの意思を示し、ハマスの対応は不透明のままである。合意は停戦と人質返還を軸に、戦後統治の枠組みまで描く野心的な内容だ。

見えてきた計画の骨格

発表された和平案は、まず停戦と「72時間」での全人質返還を柱に据えたものである。イスラエルは人質解放の準備として部隊をガザ内の合意ラインまで後退し、その間は空爆や砲撃を含む作戦を停止する手順だ。日本時間の2025年9月30日に示された枠組みは、戦闘の即時停止と段階的撤収を並行させる設計である。

解放手順に合わせ、イスラエルは終身刑のパレスチナ人250人と、2023年10月以降に拘束されたガザ住民1700人を釈放する。死亡した人質の遺体返還に対しては、パレスチナ側の遺体を比率15で引き渡す条件を掲げた。人質と被収容者の往還を、停戦の実質的なエンジンにする狙いがにじむ。

戦後の秩序づくりでは、国連など国際機関の監督下で人道支援を全面再開し、インフラ復旧や医療の再建を急ぐとした。ガザからの強制移住を否定し、望む住民の自由な出入りと帰還を担保するという記述が加わった。支援は政治的影響から切り離し、中立的に流す前提である。

統治の過渡期は、パレスチナ人と国際専門家による「無党派の技術委員会」が日常行政を担い、これを監督する「平和理事会」を新設する構図だ。理事会の議長はトランプ氏が務め、トニー・ブレア元英首相も名を連ねる。ハマスは将来統治から排除される方針である。

治安面では「国際安定化部隊」を速やかに投入し、検証可能な武装解除と非軍事化を進める。イスラエルはガザを占領・併合しないと明記し、安定化の進展に応じて撤収を段階的に進める。治安の空白を埋め、境界管理と物流の安全を国際枠組みで支える設計だ。

ネタニヤフ氏は共同会見で「戦争目標を達成する計画だ」と述べ、全人質の帰還とハマスの軍事力解体、そしてガザの再脅威化防止を列挙した。日本時間の2025年9月30日時点でイスラエルの立場は明確だが、受け入れと同時に、将来の安全保障上の裁量確保にも言及し、国内政治への配慮もにじむ。

一方のハマスは、受け入れの可否を公に示していない。人質の即時返還や武装解除、統治からの排除は、組織の存立そのものに関わる。和平案は「拒否または遅延」の場合でも、国際部隊が引き継いだ地域から復興と支援を先行させる条項を含む。合意の不成立を想定した迂回路である。

将来的なパレスチナ国家の扱いは、改革を条件とした「自己決定への道筋」にとどまる。戦後ガザの統治にパレスチナ自治政府がどの程度関与するかも明確ではない。現時点で確認されている範囲では、政治的論点を先送りし、先に治安と復旧を固める順序を選んだ設計である。

和平案は強い実務色を帯びるが、持続性は当事者の履行能力と相互の信頼に左右される。人質返還の時間管理、被収容者の段階的釈放、軍の撤収工程、いずれも現場の摩擦が前提となる。合意文言だけでは解けない「運用の壁」を超える仕組みづくりが不可欠である。

国連総会の会期中、日本時間の2025年9月23日に米国とアラブ・イスラム諸国の首脳級が会合を開き、即時停戦と人道支援拡大の必要性、そして戦後復興への協力を確認した。地域の主要国が「強制移住の拒否」を共有したことは、今回案の前提を支える政治的な土台である。

周辺国の関与は、復興資金と治安枠組みの双方で鍵となる。トランプ氏の経済再建構想は特別経済区の創設を含み、域内投資を呼び込む仕掛けを意識する。治安面でもエジプトやヨルダンの経験を織り込む設計だ。資金と人材が連動しなければ、計画は机上にとどまる。

今回の合意は、即効性と段階性を併せ持つ。まず暴力を止め、人質と被収容者の往還で信用を積み、非軍事化と統治の立て直しにつなげる順序だ。だが、当事者の不信は根深く、妨害のリスクも現実だ。現地で支える監視と検証の手続き、違反時の是正回路をどこまで具体化できるかが問われる。

結局のところ、和平は「誰が主語で、誰に責任が及ぶか」を明確にするところから始まる。外から見えにくい事務と現場の調整こそ、戦後の実体を形づくる。日本時間の2025年9月30日現在、扉は半分開いた。残る半分は、当事者と仲介の粘りが押し広げられるかどうかにかかっている。