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非常に強い台風22号が伊豆諸島に迫っている。夜明けの海は白く泡立ち、風は家屋の軒を鳴らし続ける。9日朝には南の海上から荒天域が広がり、島しょ部では危険な暴風と猛烈なうねりが沿岸をたたいている。気象庁は8日、伊豆諸島で暴風・波浪の特別警報を発表する可能性に言及した。命を守る行動を迷わず選びたい局面である。
島を包む暴風雨、近づく眼の気配
水平線は鉛色に沈み、ときおり吹き抜ける突風が木々を根元からしならせる。波は港の防波堤を越える勢いで、しぶきが道路を濡らしている。現地からはすでに「立っていられないほどの風」との声が上がり、一部では最大瞬間風速が50メートルを超えたとの情報も流れている。現時点で確認されている範囲では、伊豆諸島の南部を中心に暴風雨の帯がかかり、視界不良と飛来物の危険が増していると映る。
気象庁は2025年10月8日に、台風22号が9日にかけて伊豆諸島へ非常に強い勢力で接近する見込みだと発表した。あわせて、東京都の伊豆諸島には暴風・波浪の特別警報を発表する可能性があると示唆している。特別警報は「数十年に一度」の現象が切迫、または発生時に出される最上位の警報で、住民の行動は避難完了が前提となる重いサインである。
島の交通は早い段階から乱れるとみられる。空の便や定期船は安全第一で計画変更が広がり、陸上でも倒木や冠水で通行止めが相次ぐ可能性が高い。必要な買い出しはすでに済ませ、外出は極力避けたい。屋外の飛散物は片づけ、窓ガラスは養生テープや段ボールで補強する。停電に備えたモバイルバッテリーの確保も、いまのうちに済ませるべき準備である。
何が危険で、いつまで続くのか
危険の中心は二つある。ひとつは地上をえぐる暴風で、看板や瓦、脚立のような軽い資材が凶器に変わる。もうひとつは海から押し寄せる波と高潮だ。台風が近いほど波長の長い大きなうねりが入り、平常時の満潮と重なると海岸や港の護岸を越えて浸水が広がる。加えて、帯状の発達した雨雲がかかると短時間で道路側溝や小河川があふれ、斜面は地中の水が増えて崩れやすくなる。危険は重なり、連鎖する。
荒天のピークは台風の進行と風向の切り替わりで何度か訪れる。暴風域の縁がかかる時間帯は横殴りの雨が続き、風の向きが南から西へ、さらに北寄りへと変わるにつれて倒木や飛来物の落下方向も変わっていく。9日を通じて厳しい状況が続くおそれがあり、海や河川、崖沿いには近づかない判断が重要だ。夜間にかけては暗闇で危険が見えにくくなるため、日没前の避難完了を強く意識したい。
行政からの避難情報は小刻みに変わる。警戒レベル4の避難指示が出たら迷わず避難行動を完了させる。すでに立ち退きが危険な場合は、建物のより安全な場所へ移動する「緊急安全確保」を選ぶ。スマートフォンの充電を保ち、自治体の防災無線やテレビの速報をこまめに確認する。気象庁は8日の時点で特別警報の可能性に言及しており、伊豆諸島では最悪のシナリオを前提に備えを継続する必要がある。誰に有利な賭けでもないことは明らかである。
