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倒木の並ぶ道で重機が土砂をかき出し、遮断された集落への道が少しずつ開いていく。フィリピン当局は2025年11月10日、前夜にルソン島へ上陸した台風26号(国際名フォンウォン)で死者が4人に達したと明らかにした。ヌエバビスカヤ州カヤパでは土石流が家屋を直撃し、子ども2人が亡くなった。上陸地のアウロラ州では複数の町が一時孤立。先週の台風25号の影響が残る中、緩んだ地盤が被害を押し上げ、警戒は続いている。
押し寄せた風雨が残した傷跡
台風は2025年11月9日22:10、ルソン島北東部のアウロラ州ディナルンガンに上陸した。最大風速はおよそ185km/h、瞬間的な突風は230km/hに達し、広い範囲で暴風と大雨をもたらした。山地を越える進路をとったことで勢力は落ちたが、外側の雨雲が各地に強い降りを残し、沿岸部では高潮や高波の危険が続いた。島の背骨に当たる道路では、倒木や土砂が交通を妨げ、復旧の重機が夜通しでの作業に追われた。
上陸に先立ち、政府は広域で避難を進め、延べ140万人規模の住民が安全な場所へ移動した。気象監視のPAGASA(フィリピン気象庁)とNDRRMC(国家防災委員会)が連携し、強風域外の地域にも警報を広げたことが、人的被害の抑制につながった可能性がある。強風は送電設備や通信網にも打撃を与え、停電や通信障害が点在。港では欠航が続き、物流は一時的に滞った。
被害が集中した山間部では、雨で緩んだ斜面が崩れやすい状態にあった。ヌエバビスカヤ州カヤパでは未明の土石流が住宅を直撃し、幼いきょうだい2人が犠牲となった。救助隊は周辺の家屋を一軒ずつ点検し、住民の移動を急いだ。海沿いのアウロラ州では、落下した電柱や土砂崩れで北部の4町が一時孤立。唯一の幹線道路に土砂が乗り上げ、支援車両は通行再開の合図を待ちながら、脆弱な交通の現実に向き合った。
相次ぐ台風が映す脆さ
今回の被害の底流には、先週上陸した台風25号(カルマエギ)の爪痕がある。各地で地盤が水を含み、土砂災害の誘因が積み上がっていた。25号による死者は200人を大きく超え、河川の氾濫や道路寸断が復旧途上のまま、26号の強い風雨が重なった。被災の連鎖は、単独の巨大災害とは異なるかたちで生活を削り、復旧計画に「前の被害を抱えたまま次の危険に備える」という難題を突きつけている。
北部沿岸では、一本の海沿い道路が暮らしの背骨だ。電柱が倒れ、法面が崩れるたびに、集落は外と内を分ける線のこちら側に取り残される。今回もアウロラ州の複数の町が通行止めで孤立し、救援や物資輸送は、崩落箇所の応急復旧と一体で進めるしかなかった。気象が急変しやすい季節、地形の制約とインフラの負荷が重なる脆さが、災害の様相を形づくっている。
一方で、早期の避難勧告や学校・官公庁の休業措置は、人的被害の抑制に一定の効果を示したとみられる。避難所の開設も段階的に拡充され、各地の自治体が事前配備した食料や飲料水が初動を支えた。警戒区域の線引きや危険斜面の点検はまだ道半ばだが、相次ぐ台風を経て、地域ごとの「弱いところ」が浮かび上がりつつある。被害の大小だけでは測れない改善の“積み残し”が、次の備えに直結する。
台湾へ向かう進路と広がる備え
台風はフィリピンを抜け、2025年11月12日に台湾西岸へ接近・上陸する見込みだ。東側の山岳地帯では豪雨が懸念され、9月に洪水で犠牲者が出た地域では、早めの避難が進められている。中心付近の風は弱まりつつも、広い雨雲と海上のうねりは残り、沿岸の浸水や土砂災害の危険は続く。島の東西で地形が大きく異なる台湾では、風の影響が西、雨の負担が東に偏る可能性があり、備えの重点も分かれる。
航空や海運の乱れは周辺地域に波及しやすく、復旧の足並みは天候に左右される。警戒区域の外でも急な増水や突風が起きうるため、最新の予報に合わせて避難や通行止めを機動的に切り替える運用が欠かせない。洪水後の感染症や、停電・断水の長期化に伴う生活不安への対応も、初動と並行して準備されるべき課題だ。短期の復旧と中期の補強を同時に走らせる視点が問われている。
夜明け前の道路には、引いた水が残した泥の筋が光っている。静かな動きが、次の展開を待っている。
