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スイスの金融大手UBSが12月4日に公表した年次報告書で、世界のビリオネア(資産10億ドル超の超富裕層)が2919人に達し、過去最多になったことが明らかになった。UBSがデータ収集を始めた1995年以降で最大の人数であり、彼らの総資産も15.8兆ドルと記録を塗り替えた。株式市場、とりわけAI関連を含むテック企業の株高がこの急増を支えている。一方で、物価高に直面する多くの家計との間で「富の集中はどこまで許容されるのか」という問いが改めて突きつけられている。
生活者が感じる物価高の陰で、2919人の超富裕層
UBSの報告書によると、2025年4月4日時点で世界のビリオネアは2919人となり、前年からおよそ8.8%増えた。世界全体の人数が1年で数百人規模で増えたのは、株価と金融資産価格の上昇が続いたためだ。報告書が集計したビリオネアの総資産は15.8兆ドルに達し、過去12か月で13%拡大したとされる。
背景には、MSCI世界株価指数が同期間に約7%上昇するなど、先進国を中心に株式市場が底堅く推移したことがある。なかでも、半導体やクラウドを手がける大手テック企業の株価はAIブームを追い風に大きく伸び、テック分野のビリオネアの資産は約3兆ドルと前年から4分の1近く増加した。既存の富裕層が保有する株式の値上がりに、新たな起業家の躍進が重なった格好だ。
こうした動きは、株式や投資信託を多く保有する層ほど資産を増やしやすい一方で、賃金の伸びが物価上昇に追いつかないと感じる人々との格差を意識させる。日々の生活費や住宅費の負担感が増すなかで、世界のどこかでは過去最多のビリオネアがさらに資産を積み上げているという構図は、「成長が誰のものか」という素朴な疑問を呼び起こしている。
テックと相続が押し上げる富の集中、各国の次の一手
UBSの詳細な分析では、ビリオネアの資産拡大を牽引したのがテクノロジー分野と金融市場の回復であることが示されている。AI関連企業への期待から、米国の大手IT・半導体企業の時価総額が急伸し、その創業者や大株主であるビリオネアの資産も連動して膨らんだ。また、暗号資産や株式市場の反発で、金融サービスや産業分野の資産も2桁台の伸びを記録している。
地域別にみると、ビリオネアの約3分の1にあたる924人が米国に居住し、中国本土と香港を合わせると約470人とされる。前年の報告書では、世界のビリオネア資産は10年前のほぼ2倍に達したと指摘されており、この間にとくに米国とインドなどで大きく増えた。一方、中国では規制強化や景気減速の影響で人数・資産ともに減少するなど、国・地域ごとの明暗も浮かび上がっている。
さらにUBSは、今後15年で約5.9兆ドルもの資産がビリオネア層から配偶者や子どもへ相続されると見込む。欧州では富裕税や相続税の強化をめぐる是非が繰り返し議論され、スイスやフランスで新税案が退けられる一方、英国が優遇制度を見直すなど、各国の対応は割れている。テクノロジーと相続の両輪で富の集中が進むなか、日本を含む各国は「成長の果実をどう分配し、どの程度の格差を社会として容認するのか」という難しい問いに向き合わざるをえない。
参考・出典
- UBS Billionaire Ambitions Report 2025: The Rise of a New Generation
- Planet Earth has never had so many billionaires (CNN経由配信記事)
- The number of billionaires is on the rise — and they are richer than ever thanks to AI (Business Insider)
- Wealth of global billionaires surges by 17% due to US gain: Swiss Bank UBS (Business Standard)
- Record numbers becoming billionaires through inheritance, UBS report finds (The Guardian)
