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上野動物園の双子パンダ、シャオシャオとレイレイが2026年1月下旬に中国へ返還される。国内の飼育はゼロになる見通しだ。朝日新聞社が2025年12月20日、21日に行った全国世論調査では、パンダの再来日に向けて政府が中国側へ働きかけることに「不要」が7割、「必要」が約4分の1だった。人気者の不在を前に、国が動くべきかどうかが、思いのほか冷静に問われている。
別れの準備が進む上野、空白は全国へ広がる
返還が決まったのは、2021年6月23日に上野で生まれたオスのシャオシャオとメスのレイレイだ。上野動物園では混雑を見込み、観覧方法を段階的に変更する。最終観覧日は2026年1月25日で、その後は輸送に向けた手続きが進む。会いに行く側は、時間や人数の制約を受け入れながら、最後の数分を「並んで待つ体験」として引き受けることになる。
そもそも今回の返還は、動物園の都合というより契約の時間割に沿ったものだ。双子は繁殖研究の枠組みで飼育され、協定上の返還期限が迫っていた。2025年6月には和歌山県白浜町の施設で飼育されていたパンダ4頭が中国へ戻り、国内に残ったのは上野の2頭だけだった。つまり上野の返還は、東京だけの話ではなく、日本全体の「パンダ空白」を確定させる節目になる。
「政府が頼むべきか」より、何のために頼むのか
世論調査で「政府は動かなくてよい」が多数を占めたのは、パンダの人気が落ちたからとは限らない。むしろ、かわいさと外交が同じ箱に詰められることへの違和感が表に出たとも読める。パンダは日中関係の象徴として語られやすく、何かを頼む行為が、別の政策判断と引き換えに見えてしまう局面もある。動物をめぐる感情と、国家間の交渉を切り分けたい意識が「不要」という答えに流れ込んだのかもしれない。
一方で、自治体側は次の一手を探している。東京都は新たな貸与を求めているが、実現時期は見通せないとされる。もし国が関与するなら、単なる「お願い」ではなく、共同研究や保全協力など目的を言語化し、費用や条件も含めて説明することが欠かせない。逆に、国が動かない選択をするなら、動物園の目玉を外から借りる発想に頼らず、国内の希少種保全や展示の質をどう高めるのかが問われる。パンダの不在は、外交の空白ではなく、私たちの優先順位を映す空白でもある。
