ソマリランド承認で緊急会合　国連安保理は29日開催へ

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2025.12.28

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国連安全保障理事会は2025年12月27日、イスラエルがアフリカ東部のソマリランド（ソマリア北西部の事実上の自治地域）を国家承認したことを受け、緊急会合を29日午後（ニューヨーク時間）に開くことを決めた。議長国スロベニアによると、開催を求めたのはソマリア側だ。日本時間では30日午前の開催になる。

議論の出発点は「地図を書き換えるのか」

ソマリランドは1991年に独立を宣言し、行政や治安を自前で運営してきた一方、国連加盟国から国家として承認されてこなかった。そこへイスラエルが12月26日に国家承認を表明し、ソマリア政府は自国の主権と領土の一体性を揺るがす動きとして反発している。安保理の会合は、当事国にとっては「まず異議を国際舞台に刻む」場になる。

反発は地域にも広がる。アフリカ連合（AU）の委員長は26日、ソマリランドを独立した存在として認める動きに反対し、ソマリアの統一と主権を支持する立場を示した。AP通信も、域内の枠組みが同様の姿勢を打ち出したと伝えている。ニューヨークの会議室では、国境線の扱いを巡る原則論と、現実の統治の実態をどう見るかがぶつかる構図だ。

安保理で決められること、決められないこと

安保理は紛争予防や制裁などを扱う一方、国家承認そのものは各国の主権判断に属する。今回の緊急会合も、直ちに結論を出す場というより、各国が「前例にするのか、例外にとどめるのか」を探る色合いが濃い。アデン湾に近い要衝という地理も絡み、議論は地域の安定や治安協力の文脈に引き寄せられやすい。

イスラエルのダノン国連大使は、承認を正当化する趣旨の声明を出した。AP通信は、イスラエルの狙いを巡り、ガザ住民の移住先案との関連を推測する見方が出ているとも報じている。論点整理をすれば、焦点は「分離の承認が連鎖するリスク」と「既成事実を無視した不安定化」のどちらを重く見るかにある。29日の場で、安保理が一枚岩のメッセージを出せるのか、それとも見解の相違を露呈するのかが次の分岐点になる。

議論の出発点は「地図を書き換えるのか」

安保理で決められること、決められないこと

参考・出典