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日本時間2025年10月1日朝、米バージニア州クアンティコで招集された将官級会合で、ヘグセス米国防長官が強硬な演説を行った。「同意できないなら辞任せよ」と迫り、軍の容姿や行動規範を大きく改める方針を示した。現場の文化と文民統制に波紋が広がる局面である。
将官を前に突きつけた選択
詰めかけた将官と最先任下士官の前に、長官は毅然と立ち、組織の「軸」を揺さぶる言葉を連ねた。軍の規律と戦闘力を損ねる「文化的退行」が続いてきたと非難し、方向転換に背を向ける者は職を去るべきだと語った。会場は張り詰めた静けさに包まれ、視線は壇上に釘付けになった。
長官は見た目と所作を軍の基礎と位置づけ、肥満傾向の上級指揮官を辛辣に批判した。身だしなみは統一すべきだと強調し、無精ひげやだらしない装いを断つと宣言した。体力測定の基準も引き上げると示し、兵の「戦士としての自覚」を取り戻すと語った。
会合には大統領も姿を見せ、軍への全面的な支持をうたいながら、米国内の治安悪化を論じた。発言は政治色を帯び、軍を巡る議論は一段と熱を帯びた。超党派で守られてきた軍の非政治性に、どこまで踏み込むのかが問われる場面となった。
10の指令が示す転換点
演説の核となったのは、長官が同時に通達した10の指令である。人事や教育、通報制度から訓練の中身まで、広く「人と文化」を作り替える設計図が並んだ。合言葉は、安易な寛容ではなく、厳格な規範に基づく戦闘即応であると強調した。
体力と外見の基準は一段と厳しくなる。全兵科で高い基準を統一的に適用し、例外の芽を摘む方向が示された。無精ひげを許さない姿勢は、隊列の統一感と規律を象徴させる狙いだと長官は示唆した。兵士は日々の鍛錬と端正な所作で指揮統率を体現せよというメッセージである。
同時に、差別や不正の扱い方も見直される。苦情処理や懲戒のプロセスは、萎縮を招く過剰な手続きから、迅速で実効的な枠組みへ改める方針だという。ハラスメントやいじめの定義も再点検し、過度に広がった解釈を正すとした。必修研修の負担軽減にも言及があった。
広がる余波と問われる境界線
一連の方針は、近年の改革で整えられてきた通報制度や多様性施策を巻き戻すとの懸念を呼ぶ。現場では、ハラスメント抑止と人材定着をどう両立させるかが課題だった。長官は「規律の回復」を最優先に据えるが、長く積み上げた信頼を損なえば離職や採用難に跳ね返る恐れもある。
政治との距離にも注目が集まる。演説では省庁の呼称を「戦争省」へ改める構想が語られ、法的な手続きの行方が焦点となった。軍は憲法への忠誠を誓う非党派の組織だが、長官と大統領の断言口調は、専門的助言と政治的要求の境界を曖昧にしかねない。
人事の刷新も続く。長官はこれまで複数の高級将官を交代させ、組織文化の「やり直し」を急いできた。厳格な基準と即応態勢を掲げる一方で、異論に対しては辞任を促す強い姿勢を崩さない。強権的な改革が現場の士気に与える影響を、同盟国も注視している。
