本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。[私たちの取り組み]
厚生労働省の専門委員会は2025年11月17日、生活保護基準の減額を違法とした6月の最高裁判決を受け、引き下げ率の見直しを盛り込んだ報告書案を大筋了承した。基準改定前比で最低2.49%の減額にとどめる案に加え、違法部分の全額を支給する選択肢も並べ、政府は月内にも支給方針を決める。高市首相は引き下げを謝罪し、一部補償に言及した。
厚労省委員会が減額率を見直し、月内決定へ
委員会は、違法と判断された「デフレ調整」を除いた再計算を前提に、基準改定前との比較で最低2.49%の減額幅とする案を軸に整理した。あわせて、原告以外も含めて減額分を全額支給する案や、原告とそれ以外で支給の扱いを分ける案も提示した。いずれも最高裁の指摘を踏まえ、手続の透明性を重視した枠組みである。
原告側は減額分の全額支給を求めてきたが、同省は低所得世帯の消費水準を上回る恐れがあるとして、一部補填にとどめる案も示した。生活扶助（食費や光熱費などの費用）の実態と過去の算定方式を見直し、再発防止の観点から説明可能性を高める狙いがにじむ。
支給規模は数千億円に及ぶ見通しで、2025年度補正予算への計上も検討される。政府は月内に具体の支給方法を決め、自治体の実務に反映させる。最高裁判決を受けた初の制度対応となり、減額を受けた受給者への遡及的な支払い開始の時期や、申請手続の簡素化が焦点になる。
最高裁の線引きと算定根拠が示すもの
2025年6月27日の最高裁判決は、2013〜15年に平均6.5%の引き下げを行った際の「デフレ調整」を、専門的知見の欠如などを理由に裁量の逸脱・乱用と認定し、処分を取り消した。一方で、低所得世帯の消費実態との乖離を是正する「ゆがみ調整」は適法とした。減額のうち約4.78%分が違法と位置づけられた。
今回の報告書案は、総務省の全国家計構造調査（家計の支出構成を把握する統計）を反映し、適法とされた範囲での減額幅を再計算した。その結果が最低2.49%であり、過去の平均6.5%との差分の多くが、違法部分の補填対象になる。指数のみで機械的に動かす手法から、根拠の混合と説明の整合性を重視する流れに変わる。
支給の在り方は、原告と非原告の扱いを分けるか否かで公平性と実務負担がせめぎ合う。仮に全額支給が選ばれれば迅速さで優れるが、政策目的との整合や財政影響は大きい。部分支給とした場合も、自治体の再計算や周知に時間を要する。基準をどう整え直すかが、最低限度の生活を具体化する制度の信頼を左右する。
