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出生時の性は男性で、性自認が女性の学生を女子大がどう受け入れるのか。全国の4年制女子大を対象にした毎日新聞の調査では、すでに入学資格を認めている大学が6校あり、今後認める方針の大学が1校、検討中が16校あることが分かった。2020年度以降、前向きな大学は着実に増えている。女子大は、性の多様性と在学生の安心という2つの価値をどう両立しようとしているのかが問われている。
学生の視点から見える「女子大で学ぶ権利」と不安
調査結果は、トランスジェンダー女性にとって女子大で学ぶ道が少しずつ広がりつつあることを示す。国立の女子大では、お茶の水女子大学や奈良女子大学などが、戸籍上は男性でも性自認が女性であれば出願を認める方針を示している。女子大で学ぶことを希望する人にとって、従来は選択肢がほとんどなかったが、少なくとも進学先を検討できる場が増え始めている。
一方で、入学を認めるかどうかだけでは、当事者の不安は解消されない。福岡女子大学が2029年度からの受け入れを公表した際には、1年次が全寮制であることから、寮での生活環境をどう整えるかが論点になったと地元局のニュースが伝えている。共学の大学に通うトランス女性の学生からは、トイレや更衣室で常に視線を気にしてしまうという声も、ABEMAなどの番組で紹介されてきた。女子大に進学したとしても、安心して過ごせる設備やルールが伴わなければ、「学ぶ権利」は十分に守られないという現実がある。
津田塾大学は、2025年度入試からトランスジェンダー学生に受験資格を認める方針を示し、キャンパス内の多目的トイレをオールジェンダーとして明示するなど環境整備を進めていると毎日新聞の特集は紹介する。入試制度だけでなく、日常生活での動線や相談窓口をどう整えるかという視点は、他の女子大にとっても参考例になりつつある。受け入れに前向きな大学が増えている背景には、こうした具体的な工夫の積み重ねがある。
大学が抱える制度づくりの課題と社会への波紋
女子大側が受け入れに踏み切るには、理念だけでなく制度と運営の具体化が欠かせない。お茶の水女子大学は、「学ぶ意欲のあるすべての女性」に開かれた場とする使命から、2020年度入学者からトランスジェンダー学生を受け入れるとし、出願前の事前相談や通称名の扱いなど、細かな配慮事項を公表している。津田塾大学も、教職員で構成する委員会が性自認の確認や学生生活上の配慮について面談を行う仕組みを整えたと朝日新聞は報じている。誰をどのような条件で受け入れるかを明確にし、本人と大学が納得して進学を決められるようにする狙いだ。
一方、毎日新聞の調査では、受け入れを「認めていない」と答えた女子大の多くが、多目的トイレや更衣室など設備の未整備、在学生や保護者への説明に時間がかかることを理由に挙げているという。朝日新聞の取材では、「女子大ではなくなるのでは」といった声が学内で出た例も紹介されており、大学側は女子大の存在意義そのものを議論し直す必要に迫られている。トランス女性を含む「多様な女性」を包み込むことで女子大という場をどう再定義するのか、それとも従来の枠組みを優先するのかという葛藤は、簡単に結論が出る問題ではない。
福岡女子大学のように、数年先の受け入れ開始を見据え、ガイドライン作成や寮の運営方法の検討に時間をかける大学も出てきた。性の多様性をめぐる議論は、制服や寮、県人会の学生寮など、教育環境全体のジェンダーギャップを見直す動きともつながっている。女子大のトランスジェンダー受け入れは、性自認だけで入学資格を議論するテーマではなく、誰もが安心して学べる条件をどう整えるかという、より広い問いを社会に突きつけている。その答えを探るプロセス自体が、大学と社会の両方を少しずつ変えていくことになりそうだ。
