韓国・特別検察が尹錫烈前大統領を追起訴、戒厳発令で裁判が国家権限の線引きを問う

韓国・特別検察が尹錫烈前大統領を追起訴、戒厳発令で裁判が国家権限の線引きを問う

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報道官がマイクの前に立ち、言葉を区切った。特別検察は2025年11月10日、尹錫烈前大統領を権力乱用と「敵を利する罪」で追起訴した。昨年12月の特別戒厳を巡り、北朝鮮との衝突を意図的に誘う計画があったとする内容だ。短い時間で発令・撤回された戒厳の余波は、法廷で国家の統治と抑制の線引きを改めて問うている。

追起訴が示した構図と証拠

発表は10日。特別検察は、尹氏が金龍顕前国防相らと共に国内の緊張を高め、特別戒厳の発動が可能な状況づくりを図ったと主張した。共犯として前防諜機関トップの名も挙げ、計画性と役割分担を強調した。焦点は、政治判断の域を超え、武力衝突の誘発を目指したかどうかに置かれている。

特別検察は、軍関係者の携帯電話から復元されたメモを中核証拠に挙げた。そこには「ドローン」や「外科手術的攻撃(surgical strike)」といった語が並び、北朝鮮の反応を引き出す「短期で有効な結果」を狙う示唆が記されていたという。記録の断片から、意思決定の経路を積み上げる作業が続いている。

尹氏はすでに、特別戒厳の発令を巡って内乱の罪で起訴されている。憲法裁判所は4月に罷免を決定し、肩書は前大統領となった。法廷では刑の重さも視野に入るが、弁護側は「秩序の回復を促すための警告的措置で、敵を利する意図はない」と反論している。起訴の文言と当時の言動、その溝が次の審理を左右する。

「敵を利する罪」とは

「敵を利する罪」は、敵対勢力の利益となる行為を罰する規定の総称だ。戦時の通謀だけでなく、軍事情報の漏洩や、相手の攻勢を誘う危険の創出も含み得ると解される。今回の追起訴は、権力乱用と並べて適用された。起案の背景には、挑発の意図と結果の因果関係をどう描くかという、難しい立証の山がある。

昨年10月、北朝鮮は「韓国の無人機が平壌上空で反体制ビラを散布した」と主張した。韓国軍は当時、軍としての実施を確認せず、コメントを抑制した経緯がある。両側で気球や放送などの心理戦が続く中、無人機という手段が境界を曖昧にし、偶発的な軍事衝突のリスクを高めたとの見方は根強い。

特別検察は、ドローン運用の指示や準備が北側の反応を引き出す前提だったと位置づけ、「利敵」の構成要件を満たすと判断した。現時点で確認されている範囲では、破損機体の所在やデータの扱いも論点に含まれる。証拠の連なりが、意図と結果のどこで結びつくのか。条文の抽象を、具体の事実で埋める作業が続く。

6時間の戒厳が残したもの

昨年12月の特別戒厳は、発令から約6時間で効力を失った。国会周辺には治安部隊が展開し、議場の開催や採決を巡り、緊張が一気に高まった。短さが象徴的だったからこそ、制度のブレーキが働いた経路や、指示系統の文書化の有無がいま検証されている。国会封鎖や非常命令の範囲を巡る証言も積み上がる。

その後、弾劾の可決と罷免決定を経て、内乱と権力乱用に関する訴追が進んだ。特別検察は閣議手続の適法性や記録の改変疑惑、暗号端末のデータ削除の指示なども併せて調べ、段階的に追起訴を重ねてきた。政治と軍事が交わる場面で何が起きたのか、会議録と端末解析が当時の時間を呼び戻している。

一方で、尹氏は一貫して「反国家的勢力から民主主義を守る警鐘だった」と主張し、挑発目的を否定している。短期の非常措置を「制度の範囲内」とみる弁明は、統治の裁量と権力の限界という古くて新しい問いを連れ戻す。判断の重さは、証拠の細部と手続の丁寧さに託される。

硬い床に響く靴音が、次の審理の時刻を告げている。

参考・出典

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