本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。[続きを表示]ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。[私たちの取り組み]
電話が鳴ったのは、ペナンの日本総領事館だった。現地当局から伝えられたのは、日本人14人が特殊詐欺に関与した疑いで拘束されたという一報だ。ペナン島は観光地として知られるが、その一角が詐欺グループの拠点だった可能性がある。日本大使館と総領事館は、慌ただしく情報収集に動き始めた。東南アジア各地で同種の事件が続く中、またひとつ新たなケースが浮かび上がったかたちだ。
ペナン島で14人拘束、日本側は事実確認を急ぐ
日本大使館によると、2025年11月20日、マレーシア北西部のペナン州で、日本人14人が特殊詐欺事件への関与を疑われ拘束されたと、現地当局から連絡が入った。現場はリゾート地として知られるペナン島内の施設で、捜査当局は日本語を用いた詐欺の拠点だった可能性も視野に入れているという。現時点で、個々の日本人の年齢や職業、在留資格などの詳細は公表されていない。
関係者の話では、拘束されたのは日本人だけではなく、中国人4人も含まれているとされる。国籍の異なるメンバーが同じ拠点で活動していたとみられ、国際的な役割分担のもとで、名簿の管理や電話役、送金先の指示など、複数の工程を分業していた可能性もある。こうした構図は、過去に摘発された東南アジア拠点の特殊詐欺グループとも共通点がある。
在マレーシア日本大使館は「現地当局と連携して事実関係の確認と適切な対応を進める」とコメントし、ペナンの日本総領事館を中心に、被疑者の安否確認や事情聴取への立ち会いなどに備えている。特殊詐欺は、日本国内の高齢者らに警察官や金融機関職員を名乗って電話をかけ、現金やキャッシュカードをだまし取る犯罪だ。海外拠点の事件では、拘束された日本人が一様に加害者と断定できるとは限らず、勧誘の経緯を含めた慎重な確認が求められている。
広がる東南アジア拠点、相次ぐ拘束と摘発
マレーシアでは2025年に入り、特殊詐欺に関わるとされる邦人拘束が繰り返されている。6月には首都クアラルンプールの住宅などが家宅捜索を受け、日本人13人を含む男女約20人が逮捕されたと捜査当局が発表した。今回のペナン島での拘束は、それから数カ月後の出来事であり、同じ国の中で別の拠点が温存されていた可能性を示している。
こうした動きはマレーシアに限られない。カンボジアでは、詐欺グループの施設から保護された日本人29人が本国へ移送され、機内で逮捕された事件もあった。タイでも、ミャンマーの国境地帯で特殊詐欺に関与した疑いがある日本人が拘束されるなど、東南アジア各地で同種の事案が明らかになっている。いずれも、拠点は現地にありながら、被害者は日本国内という構図だ。
背景には、日本から見ると「海外の高収入求人」として見える勧誘があると指摘されてきた。語学力が乏しくても働けるとされるコールセンター業務やIT関連の募集が、実際には詐欺の電話掛けや名簿整理だったというケースも報じられている。現地でパスポートを取り上げられ、逃げられなくなる例もあり、働き手の一部が被害者と加害者の境界線上に置かれている現実が浮かぶ。
観光客でにぎわうリゾートと、遮光カーテンで外界を遮断した拠点の室内とでは、時間の流れがまるで違う。今回の拘束で明かされる事実が、静かな海沿いの街に隠れていた仕組みをどこまで照らし出すのか、日本と現地を結ぶ捜査の行方が見守られている。
