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ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢（AfD）」が米政界、とりわけMAGA派の要人との結び付きを強め、米国務省高官らとの面会を重ねていると報じられている。10月上旬にはニューヨークでの非公式会合に同党議員が出席し、接触の可視化が進んだ。10月30日付の複数報道を総合すると、同党は国内での孤立打破と対外的な正統性の獲得を狙っているとみられる。
何が起きているか
現時点で確認されている範囲では、同党のヤン・ヴェンツェル・シュミット氏やケイ・ゴットシャルク氏らがここ数カ月、米国務省の高官と面談したとされる。10月上旬、マンハッタンで開かれたニューヨーク・ヤング・リパブリカン・クラブの私的レセプションには両氏が参加し、シュミット氏は米外交当局者との会談直後に合流したと伝えられている。
会合では、独国歌の「第一節」を歌う場面があり、シュミット氏が胸に手を当てて唱和したとの証言がある。同氏はその歌詞とナチズムとの関連を否定したという。ゴットシャルク氏は「わが国にはもはや民主主義は存在しない。何を考え、何を好むかを言うことさえできない」と語り、党が受けていると主張する抑圧を強調した。
背景と狙い
AfDはドイツ連邦憲法擁護庁により過激主義政党と位置付けられ、主流政党との間には連携拒否の「防波堤」が敷かれている。こうした国内の孤立状況のなか、米政権中枢に近いMAGA派との接点は、存在感の誇示と国際的な承認獲得の手段になり得る。米側関係者は「主流から外れた組織は歴史上、米外交当局と関係を結ぶことで得られる正統性のお墨付きを渇望してきた」と述べ、動きの狙いを示唆した。
ボーフム大学の政治学者オリバー・レンプケ氏は、この一連の会談を「注目を集め、政府権力に近づくために計算された場」であり、欧州の通常の協調体制では考え難いと分析する。国内世論調査では同党支持が急伸しており、メルツ首相率いる保守勢力にとって来年の地方選の行方は一段と重みを増しているとみられる。
反応と今後の焦点
一部報道によれば、米政権内の発言がAfDの主張を後押しする場面もある一方、国務省は詳細への言及を避け、交流の実像は限定的にしか明らかになっていない。ソーシャルメディアＸでは、国務省高官ダレン・ビーティー氏がシュミット氏、マルクス・フローンマイヤー氏と並ぶ写真が確認され、接触の事実関係を補強している。
国外の政治的後ろ盾をてこに国内の包囲網を崩す狙いが透けるなか、焦点は二つに絞られる。第一に、ベルリンとワシントンの政府間関係に与える波及である。第二に、独当局による監視指定の運用や公職就任の適格性審査など、国内の制度対応が選挙局面でどう作用するかである。来年の一連の州選での勢力図と、米独の距離感の再調整が試される局面が続く。
