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秋田県からツキノワグマ被害への対処として捕獲に伴う活動支援の要請があり、防衛省は自衛隊による輸送支援などの実施に向けた調整を進めている。28日には東北方面総監部などから約10名の連絡要員を県庁に派遣し、具体化へ協議を開始。自衛隊法100条に基づく対応で、駆除は対象外とする見通しだ。
要請の背景と防衛省の対応
秋田県が求めたのは、クマの捕獲に関連する作業で必要となる輸送支援などであり、駆除そのものではない。防衛省は県の要望を受け、関係部隊と連携して実施可能な支援内容を洗い出し、調整を本格化させた。任務遂行に支障のない範囲で最大限協力する考えだ。
法的な枠組みは災害派遣ではなく、自衛隊法100条に基づく地方公共団体等に対する協力である。平時の活動として位置付けられ、目的は捕獲に伴う活動の補助に限られる。治安や狩猟に関わる主体は地方自治体や関係者で、役割分担の明確化が前提となる。
28日には東北方面総監部などから約10名の連絡要員が秋田県庁に入り、現地の被害状況や資材の調達・搬送手順、関係機関の連絡体制を確認し始めた。開始時期や規模は協議中で、決定事項はまとまり次第公表する方針とされる。
具体的な支援像と留意点
具体的な支援像としては、捕獲用の箱わなや付属資材の輸送、設置場所への搬送支援、道路事情の悪い地域での後方支援、連絡・情報の集約といった分野が中心になるとみられる。専門的な捕獲や駆除は所掌外で、自治体や有害鳥獣捕獲の従事者が担う。
防衛省は、活動の安全確保を最優先に、地域住民や関係者に混乱を生じさせない運用を重視している。活動範囲や時間、資機材の取り扱い、設置・撤去の責任の所在を事前にすり合わせ、事故防止と情報共有を徹底することが想定される。
一方、自衛隊には本来任務があるため、平素の訓練や各種運用に支障を来さない体制設計が欠かせない。必要な人員・車両を最小限で柔軟に運用しつつ、自治体側の体制整備を後押しする形での期間限定の支援が現実的だとみられる。
県・関係機関との連携と今後の見通し
県庁に入った連絡要員は、被害発生エリアの地理条件や住民の動線、設置候補地のアクセスを把握し、自治体・警察・猟友会などとの役割分担を整理する。県の防護施策と矛盾がないよう、現地の実務の流れに合わせた支援計画の具体化が進む。
今後は、資材の数量や輸送ルート、待機拠点、連絡体制の一次・二次系統といった運用詳細が詰められる見通しである。決定までの段階では、何ができるかを見極める検討が続き、合意が整い次第、時期や実施形態が示されると考えられる。
現時点で確認されている範囲では、活動は捕獲に伴う支援に限定され、災害派遣ではないという整理が共有されている。地域の不安が広がる中、関係機関の連携と丁寧な情報発信を軸に、現場に即した実効性のある対策の具体化が焦点となる。
