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ドイツ東部ザクセン＝アンハルト州ブルク近郊で、連邦軍向けに運ばれていた弾薬が輸送中に姿を消した。国防省は12月2日、民間業者のトラックから約2万発が盗まれていたと明らかにした。軍の装備が地方都市の駐車場で失われた事実は、軍需輸送をどこまで民間に委ねてよいのかという問いを突きつけている。
地方都市で起きた弾薬盗難、何が奪われたのか
事件が起きたのは11月下旬の夜だと伝えられている。連邦軍と契約する民間運送会社のトラックは、ブルクの商業地区にあるホテル脇の駐車場に一晩とめられていた。その間に荷台がこじ開けられ、連邦軍に納入予定だった弾薬の箱が持ち去られた。翌朝、近くの兵営で荷下ろしをした兵士らが数量の不一致に気づき、盗難が判明した。
国防省の説明や各紙の報道によれば、失われたのは約2万発におよぶ弾薬だ。内訳は、9mm拳銃用の実弾がおよそ1万発、突撃銃向けの訓練弾が約9900発に加え、発煙弾などとされる。訓練弾は殺傷能力がないとされるが、大量の弾薬が行方不明になった事実そのものが、周辺住民や治安当局にとって大きな不安材料になっている。
民間委託された軍需輸送と揺らぐ安全管理
この輸送は、連邦軍が民間の物流会社に委託して行っていた。ところが運転手は、予定外の宿泊のためにトラックを無人の駐車場に置いたとみられている。国防省は、武器弾薬を扱う輸送では本来、車両を放置しないことや複数の運転手による交代など、厳格な警備措置が求められていたとし、今回の対応は契約上の安全要件に反していたとの見方を示している。
国防省はこの盗難を重大な安全保障上の事案と位置づけ、弾薬が犯罪組織などの手に渡るおそれを警戒している。一方で州議会の一部議員は、過去にも似た規模の弾薬紛失があったと指摘し、管理体制の抜本的な見直しを求めた。軍がコストや人員の制約から輸送を民間に委ねる流れが続くなか、24時間の警備を誰がどの程度の費用で担うのかという仕組みづくりが問われている。弾薬そのものの行方と同時に、安全を守る仕組みの隙間をどう埋めるかが今後の焦点になりそうだ。
