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オーストラリア政府は9日、ボーイング・ディフェンス・オーストラリアと、豪国防軍向け無人戦闘機「ゴーストバット(MQ-28A)」6機の取得契約を結ぶと発表した。事業規模は約14億豪ドル(約9億3000万ドル)とされ、開発中だった機体を本格配備に移す初の発注となる。直前には空対空ミサイル「AIM-120」を空中標的に向けて実射し命中させており、豪政府は「作戦能力としての見通しが一気に高まった」とみている。広大な空と海を抱える同国の防衛を、どこまで自律型ドローンに担わせるのかが焦点になりつつある。
パイロットの「相棒」として前線を支える新型機
ゴーストバットは、豪州で半世紀ぶりに設計された軍用航空機で、既存の戦闘機や早期警戒機と編隊を組む「協調戦闘機(Collaborative Combat Aircraft)」に位置づけられる。無人で飛行しつつ、有人機の周囲で索敵や電子戦、誘導弾運搬などを分担する構想だ。豪空軍はE-7A「ウェッジテイル」早期警戒機やF/A-18F戦闘攻撃機と組み合わせて運用する計画で、1機あたり3700キロ超の航続距離を想定していると説明している。
今回の契約に先立ち、同機は南オーストラリア州ウーメラ試験場で、実弾を用いた初の空対空射撃試験を行った。豪国防省によれば、国産の標的用無人機「フェニックス・ジェット」に対し、AIM-120中距離ミサイルをゴーストバットから発射し、空中での迎撃に成功したという。従来は試験用プラットフォームとしての飛行が中心だったが、武装を伴う任務プロファイルをこなせることを示したかたちだ。
有人機側から見れば、攻撃や偵察の「最前列」に無人機を立たせることで、パイロットの被弾リスクを抑えつつセンサーや火力を増やせる利点がある。豪政府は、8機以上の試作機と追加のブロック2機を通じて運用概念の検証を進めてきたが、今回6機の「実戦仕様」を調達することで、2020年代後半までに部隊レベルの運用態勢を築く青写真を描いている。国内の生産・整備拠点整備を含め、産業面での波及も意識したプロジェクトだ。
ドローン重視にかじを切る豪州防衛戦略
今回の発表は、ワシントンで開かれた米豪の外務・防衛閣僚協議(通称AUSMIN)と歩調を合わせて行われた。両国は極超音速巡航ミサイルの共同生産や、米軍爆撃機の豪州ローテーション展開拡大などで合意しており、ゴーストバットの本格導入も、インド太平洋での抑止力強化の一環と位置づけられる。米国からは、同盟国に対し国防支出の積み増しを求める声が強く、豪州は自律型兵器分野への集中的投資で応じている構図だ。
豪政府は今後10年間でドローン関連に100億豪ドル超を投じる方針を掲げ、その中には水中無人潜航艇「ゴーストシャーク」計画なども含まれる。国防戦略文書では、南シナ海や南太平洋にまたがるシーレーン防護、広大な北部沿岸の監視任務を、低コストで長時間展開できる無人システムに肩代わりさせる必要性が強調されている。有人戦闘機や潜水艦の更新が長期計画となるなか、比較的短期間で配備できる自律型プラットフォームに期待が集まっている。
一方で、シンクタンクの豪戦略政策研究所などは、豪軍が高性能だが少数の高価なドローンに依存しすぎれば、量で優位に立つ他国に劣勢となりかねないと指摘する。ゴーストバットのような高機能機を核としつつ、より安価で大量配備が可能な小型機や対ドローン防御網をどう組み合わせるかは、依然として解決途上の課題だ。今回の契約は、豪州が「質の高い少数精鋭」と「量の確保」のどちらに軸足を置くのかを映す試金石ともなり、周辺国もその行方を注視している。
