バングラデシュで若者指導者死亡、首都ダッカなどで抗議が暴徒化　

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2025.12.19

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バングラデシュで、2024年の学生主導の蜂起で存在感を高めた若者リーダー、シャリフ・オスマン・ハディ氏（32）が2025年12月18日夜、シンガポールの病院で死亡した。これをきっかけに首都ダッカなどで抗議が暴徒化し、暫定政権は2026年2月12日の総選挙を前に、治安回復と政治日程の維持という難題に直面している。

怒りが向かった先は「情報」と「象徴」だった

ReutersやAP通信によると、ハディ氏の死亡が伝わった後、デモ隊の一部が報道機関を襲撃し、日刊紙Prothom AloやThe Daily Starのオフィスで破壊や放火が起きた。建物内にいた記者らが一時取り残されたとも報じられている。抗議はメディアだけでなく、旧政権や政党に結び付く施設などにも及び、混乱は主要都市に広がった。

事件の背景には、政治移行期に噴き出しやすい「誰が国を代表するのか」という競り合いがある。Reutersは反インド感情が緊張を増幅させていると伝え、AP通信も抗議の中にイスラム勢力の関与が見られると報じた。暫定政権は捜査の透明性を約束しつつ、群衆心理が次の標的を生む連鎖を断てるかが問われる。

2月12日投票へ、候補者選びの季節に走る亀裂

ハディ氏は、次期総選挙で無所属として立候補する意向だったとされる。The Business Standardなどによれば、暫定政権トップのムハマド・ユヌス氏は、2025年12月20日を追悼の日（弔意表明の日）とし、捜査と処罰を進める考えを示した。だが、銃撃を受けた政治参加者の死は、若い有権者の期待を一気に不信へ反転させかねない。

選挙日程も重なる。国営BSS通信やThe Daily Starは、選挙管理当局が投票日を2026年2月12日とし、候補者の届け出期限を2025年12月29日としたと報じた。政治の舞台が「街頭」から「投票箱」へ移る途中で起きた暗殺は、立候補の萎縮や対立の先鋭化につながる恐れがある。暴力を抑え、異論を言える空間を守れるかが、選挙の正統性そのものを左右しそうだ。

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