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売り注文が画面上を埋めた。暗号資産ビットコインが2025年11月18日、7カ月ぶりに1ビットコイン当たり9万ドルの節目を割り込んだ。長く続いた上昇相場で積み上がってきた今年の値上がり分は、ここ数週間の急落でほぼ帳消しになり、投資家のリスクを取りに行く姿勢が一気に冷え込んでいる。
ビットコイン急落、今年の上昇分が消える
ビットコインは18日のアジア時間から下げ足を速め、一時は8万9286.75ドルまで売られた後、欧州時間序盤には9万0907.51ドル前後まで戻したとされる。10月前半に付けた過去最高値12万6000ドル超からみると下落率は約3割に達し、年初から積み上がってきた上昇分をほぼ吐き出した形だ。直近では9万8000ドル近辺で下値を支えていたが、先週その水準を割り込んだことで、テクニカル指標を重視する投資家の売りも加速したとみられる。
9万ドル台を割り込むのは4月以来およそ7カ月ぶりで、24時間以内の値動きとしても今年有数の大きさだ。暗号資産(仮想通貨)はインターネット上だけで取引されるデジタルなお金で、株式や債券に比べて値動きが荒く、相場が一方向に傾くと短期間で数十%動くことも珍しくない。今回の下落でも、個人投資家だけでなくレバレッジ取引を行っていた投資家の損切りが連鎖し、市場全体の売り圧力を強めたと市場関係者は受け止めている。
利下げ期待の後退と機関マネーの退潮
背景には、米国の利下げ開始が想定より遅れるのではないかという見方の強まりがある。金利が高い状態が長く続けば、安全資産とされる国債や現金の魅力が増し、値動きの激しい資産から資金が引き揚げられやすい。こうした局面では、株やビットコインのようなリスク資産を手控える「リスクオフ」と呼ばれる動きが広がりやすく、ここ1カ月ほどの暗号資産市場もその影響を色濃く受けている。長く続いた上昇相場の調整局面に入ったとの意識も重なり、短期筋の売買は一段と神経質になっている。
香港の業界団体Web3 Associationのジョシュア・チュー共同議長は、上場企業や機関投資家が利益確定や持ち高圧縮を進めたことが、一段の売りを誘発したと指摘する。米国での規制が暗号資産にとって追い風になると期待していた投機的な資金も、ここ数週間は上場投資信託(ETF、株式のように売買できる投資信託)などから着実に流出しているという。ETFを通じて流入していた「長期マネー」が細り始めたことは、急落局面で価格を支える力が弱まっていることも意味し、相場の下振れリスクを意識させる材料になっている。
次の下値めどとイーサリアムの動き
暗号資産専門の運用会社Astronaut Capitalのマシュー・ディブ最高投資責任者(CIO)は、市場全体の投資家心理が弱含むなか、ビットコインの次の下値の節目は7万5000ドル近辺だとみている。チャート上で下値を支えてきた価格帯を「サポートライン」と呼ぶが、そこを割り込むとさらに売りが増えやすい。現在も値動きの振れ幅を示すボラティリティ(価格変動率)は高止まりしており、この状態が続けばその水準を試す場面もあり得ると警戒している。
主要銘柄では、ビットコインに次ぐ規模を持つ暗号資産イーサ(イーサリアム)も数カ月にわたり売りに押されている。8月に付けた1枚4955ドル前後の高値からは、すでに4割近く値を削っており、投資家はビットコインだけでなく市場全体の調整リスクを意識せざるを得ない。日本円換算でもビットコインは現在およそ1ビットコイン=1400万円前後と、ピーク時から大きく目減りした水準だ。画面に映るチャートの乱高下は、一つの相場が終わり新たな局面へ移ろうとしていることを静かに物語っている。