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秋雨の朝、整備工場のピットに静かな緊張が走る。比亜迪(BYD)が2025年10月17日、電気自動車とプラグインハイブリッド車計11万5783台のリコールを公表した。対象は純電動の「元Pro」と2015年式SUV「唐」。急拡大の生産体制の陰で、安全投資の針路を問い直す局面が広がっている。
水の侵入と熱の逃げ道、二つのリスク
対象は2021年2月6日〜2022年8月5日に生産された元Proが7万1248台、2015年3月28日〜2017年7月28日に生産された2015年式「唐」が4万4535台だ。総数は11万5783台にのぼり、当局の公示は2025年10月17日 10:48に掲出された。数字の大きさは、同社の販売規模に見合う迅速な是正の必要性を物語る。
元Proでは、車載電池のシーリング不良が主因とされる。長時間にわたり冠水した路面を高速で走行すると、電池ケースから水が侵入し、絶縁性能が低下する可能性が指摘された。極端な場合は出力低下につながるため、専用シーリング剤で電池ケースを補強し、防水機能を回復させる無償修理を実施するとしている。
一方の唐では、部品設計の選定に起因してモーターコントローラの自動放熱機能が異常動作を起こす恐れがあるという。症状が進むと回路基板の焼損を招き、純電走行モードの機能が失われるリスクがある。対策はソフトウェアの更新で、放熱方式を「電機側の放熱」に切り替え、制御フローを最適化して危険を断つ構えだ。
監督当局の調査と企業の応答
今回の措置は、中国国家市場監督管理総局が欠陥調査を開始した案件として位置づけられ、企業が召回計画を届け出て実施する枠組みである。通知は販売網から郵送や電話、短信などで順次行われ、無償の修理・更新で安全性を回復する。制度に沿った是正のプロセスが淡々と回り始めたと映る。
電池の防水や制御ユニットの放熱は、電動車の根幹を支える地味だが重要な要素だ。豪雨や都市の冠水といった環境要因、過酷な走行条件が重なるほど劣化や不具合は顕在化しやすい。現時点で確認されている範囲では、当局は安全上のリスクを明示し、予防的な修理で早期にリスクを封じ込める判断を促しているとみられる。
一方で市場の拡大は止まらない。BYDは2025年10月9日 11:10に、9月販売39万6270台、1〜9月累計326万0146台を公表した。量の増大は品質保証の負荷を確実に押し上げる。ゆえに監督当局の調査とメーカーの是正が素早く循環するかが問われる。安全と成長の両立は、中国勢のみならず自動車産業全体の試金石である。
