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米カリフォルニア州を管轄する連邦地裁は現地時間10日、ロサンゼルスに展開中のカリフォルニア州兵を連邦政府の指揮下から外し、州知事ガビンニューサム氏の統制に戻すよう命じた。移民摘発に対する抗議デモへの対応を理由に、トランプ大統領が州兵を連邦化した判断は権限を逸脱していると裁判所が断じた形だ。
州兵撤収で問われる抗議デモ対応
同州では、6月に連邦移民税関執行局(ICE)による一連の強制捜査が行われた後、市内各地で抗議デモが続き、AP通信などの報道によると、トランプ政権は治安悪化を理由に約4000人の州兵をロサンゼルス周辺に投入したとされる。多くはすでに帰還しているが、連邦政府の指揮下で残った部隊が政府庁舎周辺の警備などに当たってきた。
抗議行動の多くは非暴力的だったと指摘する地元当局や市民団体は、迷彩服姿の兵士が街頭に立つことで、移民コミュニティが一層萎縮し、通勤や通学にも影響が出ていると訴えてきた。州兵の指揮権が知事に戻れば、災害対応や治安支援など本来の任務に戻す余地が広がる一方、今後のデモ対応は州と地元警察の判断がより厳しく問われることになる。
大統領権限と州の自律性、法廷が示した線引き
ブレイヤー判事は判決で、州兵は特定の条件下で大統領の指揮下に入る余地があるものの、今回の抗議デモは”合衆国への反乱”には当たらず、連邦法が想定する要件を満たしていないと指摘した。大統領が州知事の同意なく州兵を動員し続ければ、事実上の”全国的警察組織”を作りかねず、立法と司法による統制を形骸化させると強く懸念を示したのである。
判決は暫定的な差し止め命令であり、トランプ政権は控訴する構えを見せている。それでも、連邦裁判所が”大統領の裁量は無制限ではない”と明示した意義は大きい。カリフォルニアに続き、同様の州兵連邦化に直面するオレゴン州やイリノイ州の知事も、法廷での争いを通じて州の自律性を守ろうとしている。今後、治安悪化を理由とする軍の国内投入をどこまで許容するのかという難題が、全米の政治と有権者に突きつけられている。
参考・出典
- Judge orders Trump to end California National Guard troop deployment in Los Angeles
- US judge says Trump must end National Guard deployment in Los Angeles
- Federal Court to Trump: keeping a standing army is illegal, the federalization of California’s National Guard must end | Governor of California
- Attorney General Bonta Celebrates District Court Order Ending Extended Federalization of California National Guard
- Newsom et al v. Trump et al
