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2025年12月19日、時事通信は英紙Financial Timesの報道として、中国の半導体メーカーが対中規制の強化を受け、ASMLの旧世代装置を独自に改良しながらAI半導体の国内生産を増やしていると伝えた。最先端の装置や部品が入りにくい環境で、工場は「買う」より「延命する」方向へ舵を切りつつある。
「旧型を磨く」動きが現場にもたらすもの
時事通信が紹介したFinancial Timesの報道は、中国側がASML製の旧世代装置の性能を自前で引き上げ、AI向け半導体の生産力を積み増しているという内容だ。規制が狙うのは最先端の供給線だが、現場では既にある設備を使い切るための改造や調整が前面に出てきた形である。
鍵になるのは露光装置だ。露光は、回路パターンを光で焼き付ける工程で、装置の能力がそのまま線幅や歩留まりに効く。旧型を高性能化できても、追加工程やメンテナンス負担が増えればコストは上がる。規制が強まるほど、装置そのものだけでなく、保守、交換部品、周辺の調整ノウハウが「次の競争領域」になっていく。
規制は装置から「周辺」に広がるか
輸出管理の側も手を打ってきた。米商務省の産業安全保障局（BIS）は2025年1月、先端計算向け半導体の規制強化や、迂回・転用を防ぐための追加措置を発表している。完成品の輸出だけでなく、供給網の途中で起きる“すり抜け”をどう塞ぐかが主題になっている。
装置メーカー側では、オランダ政府がASMLの一部露光装置について対中輸出許可を一部取り消したと、ASML自身が2024年1月に公表している。CNBCも同時期にこの動きを報じた。一方でReutersは2025年12月19日、トランプ米政権がNvidiaのAI半導体（H200）の対中販売を巡り審査に入ったと伝え、規制の運用が揺れる可能性も示した。規制が厳しくなるほど「既設の延命」や「周辺での代替」が進み、当局は装置・部品・サービスまで含めた監視設計を迫られる。
