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中国当局が自国の半導体産業に向け、2000億元から最大5000億元（約11兆円）規模の補助金や財政支援パッケージを検討していると、Bloombergが2025年12月12日に報じた。米国側ではNVIDIA（エヌビディア）のAI半導体の対中輸出を一部容認する動きが伝えられ、規制と補助金が同時に業界の判断を揺さぶっている。
輸出容認が進むほど、調達の迷いは深くなる
米国ではトランプ大統領が12月8日、NVIDIAのAI半導体「H200」について、中国の「承認された顧客」向け販売を認める方針を示したと政治専門紙Politicoなどが報じた。手数料として販売額の25％を徴収する条件も打ち出され、NVIDIAは需要を見込み増産を検討しているとも伝えられる。
ただ、中国側が輸入を正式に承認していないとの報道もあり、供給がどこまで安定するかは読みにくい。AI開発の現場では、短期の性能や調達確度を優先すれば海外製に傾きやすい一方、規制の再強化で突然止まる不安も残る。今回の巨額支援は、この「当面の不足」と「長期の自国化」を同時に動かす狙いだとの見方が出ている。
5000億元の行き先は、設計より「作れる力」に寄るのか
Bloombergによれば、中国当局が検討する支援の枠組みは補助金に加え、融資なども含む財政支援パッケージで、規模は2000億元から5000億元まで幅がある。対象企業や最終金額は調整中とされるが、海外企業への依存を下げる方針を強めるシグナルとして市場が受け止めている。
中国はすでに国家主導の半導体投資枠として、いわゆる「Big Fund」を段階的に立ち上げてきた。Reutersは2024年5月、3期目に当たる基金が登録資本金3440億元で設立され、製造装置などに重点を置く見通しだと報じている。資金の大きさが注目されがちだが、真に問われるのは、制約が残る装置や工程の穴を埋める配分設計にできるかどうかだ。
参考・出典
- 中国、最大700億ドルの国内半導体産業支援を検討－世界最大規模 | TBS CROSS DIG with Bloomberg
- US to allow powerful AI chip sales to China, Trump says（Politico、2025年12月8日）
- China to limit access to Nvidia's H200 chips despite Trump export approval, FT reports（Reuters、2025年12月9日）
- トランプ米政権、エヌビディア製などの半導体輸出管理を強化との報道(米国) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース
- China sets up third fund with $47.5 bln to boost semiconductor sector（Reuters、2024年5月27日）
