中国製EV巡りEUと交渉再開　最低価格案で通商摩擦緩和探る

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2025.12.12

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中国商務省は11日、中国製電気自動車 (EV)への「最低価格」設定を巡り欧州連合(EU)と行っている協議が再開され、今後1週間程度続くと明らかにした。中国側は、EUが2024年10月に導入した最大45.3%の追加関税に代わる枠組みとして、一定水準以上の価格で販売する案を提示しており、激しくなった通商摩擦を対話で抑え込めるかが焦点となる。

中国EVに重い関税　企業は欧州市場維持に必死

EUは中国のEVメーカーが多額の補助金で競争力を高め、不当に安い車を大量に輸出しているとみて、調査の結果、2024年10月から最大45.3%の相殺関税を上乗せした。欧州勢にとっては価格差の是正につながる一方、中国メーカーには主力輸出先である欧州市場の採算を大きく揺るがす負担となり、現地での値上げや投入車種の絞り込みを迫っている。

中国国内ではEVの価格競争が長期化し、デフレ傾向も重なって利益率が細っているとされる。このため、BYDなど大手メーカーにとって購買力の高い欧州は収益を支える「逃げ場」となってきた。そこに高関税が重なれば、低価格を武器にしたビジネスモデル自体が揺らぎかねず、最低価格案を通じて一定の販売余地を確保したい思惑がにじむ。

最低価格案のハードル　複雑な自動車をどう扱うか

中国が提案する最低価格案は、輸出側が合意した価格を下回らないことを約束する代わりに、高い関税を回避する「価格誓約」と呼ばれる仕組みだ。太陽光パネルなど比較的単純な製品では過去にもEUが採用した例があるが、装備や性能で価格が大きく変わる自動車に一律の下限価格を当てはめられるのか、欧州委員会は有効性や監視の難しさに懸念を示してきた。

2024年には、中国側がEVを少なくとも3万ユーロで販売する案を示したが、欧州側は「補助金の悪影響を十分に打ち消せない」として退けた経緯がある。今回の協議再開にあたり、EUが関税を維持したまま企業ごとの条件を探る案も議論される一方で、中国商務省は加盟国が個別企業と別建てで交渉することに警戒感を示す。関税か価格合意か。EVを巡る攻防は、環境目標と産業保護をどう両立させるかという難題を浮かび上がらせている。