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中国の王毅外相が平壌と肩を並べる姿勢をあらためて示した。2025年9月28日、訪中中の北朝鮮の崔善姫外相と北京で会談し、国際・地域の課題で協力し「覇権」に対抗する意志を強調した。翌29日には北朝鮮の国営通信が「様々な問題で完全に合意」と伝え、関係強化の合図はより濃くなった。米中の角逐が長引くなか、中朝の歩調がどこまで揃うのかが焦点となる。
北京で交わした合意の言葉
静かな秋雨の北京で、両国外相は向き合った。王毅氏は崔氏に対し、中朝関係の維持と強化は中国の一貫した戦略であり、国際・地域の案件で協力すると述べた。中国側は「あらゆる形態の覇権主義に反対する」との立場を並べ、共同利益や国際的な公平・正義の擁護を掲げた。発言の矛先は名指しを避けつつも、米国の影を連想させる表現であることは否めない。
会談の舞台は周到に準備されていた。中国側は9月25日、崔外相の訪中日程を予告していた。訪問は月末までの短い滞在ながら、外相同士の対話を確実に組み込む構えを示した。外交日程の事前告知は、関係の「見える化」と意図の明確化につながる。とりわけ敏感な隣国同士にとって、透明性の演出はそれ自体がメッセージである。
北朝鮮側の反応も素早かった。9月29日にかけて、両外相は国際・地域問題を深く協議し「完全に合意した」との報が流れた。詳細は伏せられているが、対話の基調が対米認識で重なったことはうかがえる。交渉の具体像が見えない分、言葉の強度とタイミングが、双方の意思表明として大きな重みを持つ。
背景にある9月の急接近
今月の動きは一本の線でつながる。崔外相の訪中は今月2度目で、前回の往訪から間を置かずに再び北京に入った。外交の往来が畳みかけるように続いたことで、実務レベルの擦り合わせが一気に進んだ可能性がある。顔を合わせる頻度こそが関係の温度を測る、東アジア外交の古いが確かな物差しだ。
さらにさかのぼれば、9月上旬には北京での一連の式典を軸に、地域の政治地図が動いた。北朝鮮の金正恩総書記は中国側の最高指導部と対面し、関係を「時代の要請」に合わせて進化させる旨を示唆した。場の演出は軍事パレードの華やぎに彩られつつも、裏側では各ルートの連絡線が太くなったと見るのが自然だ。
中国が繰り返す「戦略的意思疎通」の強化は、東アジアの力学にじわりと効いてくる。北京は経済運営の説明を交えながら、近隣とのリスク分散と関係安定を図っている。北朝鮮にとっても、ロシア接近だけに重心を置かない選択肢を保つことは保険になる。今回の外相会談は、そうした多層的な利害の重なり合いの上に乗っている。
見えてくる思惑と波紋
「覇権主義に反対」の一節は、東アジアの耳目を集めるコードである。米国を念頭に置いた表現と受け止められるのが通例で、実際に地域の緊張の節々ではこの言い回しが登場する。中国は対外姿勢の基軸として掲げ、北朝鮮は自らの体制と軍事路線の正当化に用いる。言葉の一致は、そのまま戦略の一致を意味しないが、歩幅は確実に近づく。
一方、ソウルや東京の関心は次の機会に向かう。10月末の会合が近づくにつれ、各国の首脳外交のカードは増える。北京と平壌の距離が縮むほど、協議の場では抑止と対話のバランスが難しくなる。経済の連結度が高い日本と韓国にとって、リスク評価は安全保障と通商の両面で精密さが求められる局面だ。
今回の会談の中身は公表文での示唆にとどまるが、語られた言葉は地図を少しだけ塗り替えた。中朝が「協力」と「反覇権」を並べて掲げたことで、域内の同盟と連携の再調整は加速する可能性がある。実体は今後の往来と合意文の積み重ねで輪郭を帯びる。秋の外交シーズンの入り口で、北京と平壌は次の一手を見据えたように見える。