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薄い靄のかかる杭州の朝、旗がゆっくりとはためいた。2025年11月3日、李強首相とロシアのミシュスチン首相が向かい合い、両国の協力を強め、共通の安全保障上の利益を守る方針を示した。翌4日には北京で習近平国家主席とも会談した流れで、関係の制度化が一段と進む局面が浮かぶ。
杭州で交わされた言葉
会談の舞台は浙江省杭州市。両首相は「中露総理第30次定期会晤」を共同で主宰し、首脳間合意の履行を最優先に据える姿勢を確認した。李氏は中国とロシアは「相互に信頼し合う良き隣人であり良きパートナー」と述べ、発言の節々から長期的な連携を見据える視線がにじんだ。
現時点で確認されている範囲では、両首相は会談後に共同公報へ署名し、海関や衛星測位の分野に関する協力文書の締結を見届けた。具体の文言は公表範囲が限られるが、制度や手続きの整備を通じて往来と共同事業を下支えする狙いがうかがえる。言葉を行為に移す工程が意識されている。
一部報道によれば、協議はエネルギーや貿易を含む経済面にも及んだとされる。公式発表は制度面の強化を前面に出したが、供給網や決済の安定化を探る文脈は、各地の報道からもにじむ。観測情報ではあるが、議題の広がりを示唆する材料ではある。
協力が射程に入れる分野
両政府はこの1年の委員会活動を肯定的に総括し、投資、観光、越境都市経済などの融合に弾みをつける方針を示した。人文交流への投資を増やし、相互免签の推進で人の往来をさらに容易にする構想も共有した。地味に見える制度の目詰まり解消が、結果として関係の底上げにつながると映る。
多国間の場でも歩調を合わせる姿勢だ。上海協力機構やBRICS、国連での協力を密にし、「平等で秩序ある世界の多極化」や「包摂的な経済のグローバル化」を推し進めるとした。抽象度の高い言い回しの裏側には、それぞれが直面する対外環境の変化に対する危機感と、選択肢を増やす計算があるとみられる。
李氏はまた、国内の「15・5」計画の方向性に触れ、今後5年の発展図を示した上でロシアとの戦略的なすり合わせを強める意向を語った。記念年の節目でもある2025年は、第2次世界大戦の停戦から80年に当たる。歴史を織り込みつつ、実務で積み上げる段取りが前面に出ている構図だ。
北京へ続く動き
ミシュスチン氏の訪中日程は11月3〜4日の2日間と事前に発表されていた。実際、4日には北京の人民大会堂で習氏との会談に臨み、杭州での議論を首脳ルートへ接続させた形だ。トップ層から実務委員会までの導線をそろえる動きは、関係の持続性を担保する意図がにじむ。
会場を後にする随員の足取りは落ち着いていた。共同公報に署名し、次の会談が北京で重ねられたという事実だけが静かに残る。季節外れの暖かさが広がる都で、制度の継ぎ目を埋める作業が、これからも淡々と続いていくのだろう。
