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防衛省統合幕僚監部は2025年12月12日、中国海軍のドンディアオ級情報収集艦（艦番号794）の航行を確認したとして公表した。宮古島周辺を通る動き自体は「航行の自由」の枠内でも起こり得るが、日本側にはその都度、監視と記録という実務がのしかかる。南西の海で起きているのは、目立つ衝突ではなく、日常的な緊張の積み上げだ。
通過の裏側で動く「監視のコスト」
大紀元などの報道によれば、統合幕僚監部の発表内容として、海上自衛隊は12月12日7時ごろ、宮古島の北東約120kmの海域で艦番号794を確認した。艦はその後、沖縄本島と宮古島の間に広がる海域へ向けて進み、最終的に東シナ海側へ抜けたとされる。
ドンディアオ級は、電子情報を集める任務に就く情報収集艦とされ、船体各所のアンテナ群が特徴だと乗りものニュースは解説している。通過が繰り返されるほど、哨戒機や艦艇の運用、乗員の負担、そして「見逃さないための当直」は重くなる。地図上の線ではなく、現場の時間として積み上がっていく。
繰り返される航行が示すもの
この艦番号794は、2025年11月8日に大隅海峡を通って太平洋へ向かった動きが公表された経緯があると、船舶ニュースサイトのフネコが伝えている。南西諸島周辺の海域は、東シナ海と太平洋をつなぐ出口にもなるため、情報収集艦の航行が「単発の出来事」では片づかなくなりやすい。
統合幕僚監部の公表は、状況を社会と共有する一方、監視の常態化を浮き彫りにする。何を、どこまで発表し、どう抑止と透明性を両立させるのか。日本側が直面しているのは、艦影の大きさ以上に、淡々と続く監視と情報戦の消耗という現実だ。
