米下院特別委が非難、中国軍の台湾演習は意図的エスカレーション

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2025.12.31

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中国軍が台湾周辺で大規模な軍事演習を続けるなか、米下院の「中国問題」を扱う超党派の特別委員会の指導部が、12月30日付で「意図的なエスカレーション」と非難する声明を出した。演習は実弾射撃も含み、台湾側はロケット弾発射や民間航空への影響を明らかにしている。威嚇の連鎖をどこで止めるかが、年末のインド太平洋の焦点になっている。

演習が近づけた「日常のリスク」

中国側は演習「正義使命2025」として、台湾を取り囲む形で海空域の訓練や実弾射撃を実施した。台湾国防部は30日、ロケット弾27発の発射を発表し、航空機の運航にも影響が出たとしている。台北の空港掲示板で欠航や遅延が積み上がる光景は、演習が軍同士の駆け引きにとどまらず、市民の移動や物流に直結する段階に入ったことを示す。

演習海域が台湾の領海にかかる可能性も指摘され、台湾側は最前線部隊に交戦規定（ROE、現場での対応基準）にもとづく対処権限を与える方針を示した。相手の動きを「誤って攻撃と認定する」リスクは、距離が詰まるほど増える。意図がどうであれ、演習の反復は偶発衝突の確率を押し上げ、平時の安全運航や漁業活動の前提を揺らす。

米議会が示した圧力と、残る論点

米下院の特別委員会（対中戦略競争を扱う委員会）の委員長ジョン・ムーレナール議員（共和党）と筆頭理事ラジャ・クリシュナムルティ議員（民主党）は、演習が台湾や地域の民主主義国を威嚇し、平和と安定を損なう意図があると主張した。政権が変わっても、対中強硬の言葉が党派をまたいで出る点は、軍事支援や制裁、輸出管理などで議会が政策を押す余地が大きいことを映す。

一方で中国外務省は、演習は「台湾独立」勢力への懲罰・抑止で、米国の対台湾武器売却が緊張を高めたとの立場を崩していない。英国政府も12月30日、演習が緊張とエスカレーションのリスクを高めるとして自制を求めた。論点は、抑止を掲げる支援が相手の反発を招きやすい現実と、威嚇を放置すれば現状変更を許しかねない現実の両方を、どんな危機管理の枠組みで同時に扱うかにある。

演習が近づけた「日常のリスク」

米議会が示した圧力と、残る論点

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