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中国政府が日本への渡航を控えるよう自国民に再び呼びかけた。2025年12月8日に青森県沖で発生したマグニチュード7.5の地震と、その後日本側が発表した大きな地震への注意情報を理由としている。中国外務省は12月11日、観光や出張での新規訪日を当面見合わせるよう促すとともに、日本に滞在中の中国人には防災意識を高めるようSNSなどで繰り返し注意を流している。
揺れる訪日計画、中国人旅行者と在留者への影響
今回の呼びかけは、中国外務省領事局が公式サイトに掲載した通知と各種SNSでの発信によって行われた。通知では、青森県近海など本州東部沖で地震が相次ぎ、多数の負傷者や津波、避難指示が出たことを挙げ、日本の当局も一時的により大きな地震の可能性に言及していると説明している。日本気象庁が12月9日未明に発表した「大きな地震に注意を呼びかける情報」が、中国側の判断材料の1つになった形だ。
一方で、この情報は日本への旅行を検討していた人々にも直結する。共同通信や民放各局の報道によれば、中国外務省は11月にも治安悪化などを理由に訪日自粛を要請しており、その際には中国の大手旅行会社が日本ツアー販売を取りやめ、多くの航空便でキャンセルが相次いだとされる。今回の「地震」を名目にした再度の注意喚起は、すでに判断を迷っていた旅行者に、計画を延期する方向へとさらに圧力をかける可能性がある。
地震リスクと外交の緊張、繰り返される自粛要請の背景
中国が日本への渡航自粛を呼びかけるのは、ここ1か月で2度目だ。11月14日の通知では、日本で中国人を狙った犯罪が多発していると主張し、高市早苗首相の台湾情勢に関する発言が人的交流の雰囲気を損なったと非難していた。トルコの通信社Anadolu Agencyも、中国外務省が治安や対日感情の悪化を理由に「当面の訪日を避けるよう」広く求めたと伝えている。今回の発表は表向き地震への警戒としつつも、前回の政治的なメッセージと地続きと見る向きもある。
その一方で、日本の地震リスク情報そのものは、国民への注意喚起として発信されたものだ。気象庁は、青森県沖の地震を受けて今後1週間ほどはより大きな地震が起こる可能性が通常より高まったとして、避難準備や備蓄を促す「地震に関する情報」を公表した。これは確率が依然として低い範囲にとどまる中で「万一に備えてほしい」という性格の情報だが、中国側はその文言を引用し、自国民の渡航抑制の根拠として強調している。
米Reutersなどは、中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射問題などで日中間の緊張が高まる中、中国が自国民に日本行きを控えるよう繰り返し促していると報じている。地震という自然災害への不安と、台湾や安全保障を巡る政治的対立が重なり合うことで、訪日旅行や在留生活をめぐる判断は一層揺れやすくなる。人と人との往来が、災害への備えと外交の駆け引きのどちらに重きを置いて設計されるのかが、今後の大きな問いとして残る。
参考・出典
- 中国、訪日自粛を再呼びかけ 後発地震注意情報で | NEWSjp
- 驻日本大使馆再次提醒中国公民注意防范地震灾害_中华人民共和国驻日本国大使馆
- Earthquake Advisory: Japan Government Agency Warns Residents of Increased Likelihood of Major Tremor in the North
- US backs Japan in dispute with China over radar incident
- 中国外務省 日本渡航の自粛再び呼びかけ 「地震」を理由に
- China urges citizens to avoid traveling to Japan amid rising tensions
