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記者の問いが飛ぶと、北京の会見場でマイクを握った彭慶恩報道官の声が一段と強まった。中国政府で台湾政策を担当するこの報道官は、台湾に近い沖縄県与那国島への自衛隊ミサイル配備計画に改めて反発し、台湾問題へ踏み込もうとする外国勢の動きを断固退けると警告した。
中国報道官「干渉は粉砕」日本の動きを牽制
彭氏は2025年11月26日の定例会見で、日本が台湾に近接する与那国島にミサイル部隊を置く計画について問われると、中国には国家主権と領土の完全性を守る強い意思と能力があると述べたうえで、台湾問題に介入しようとするいかなる外国勢力も「粉砕する」と言い切った。
さらに彭氏は、日本が中国側の表現で「台湾地区」に隣接する地域へ攻撃能力を持つ兵器を持ち込めば、地域の緊張を意図的に高め、軍事的な対立をあおる危険な行為だと非難した。台湾を自国の一部とみなし、必要なら武力行使も辞さないとする中国の立場を、改めて内外に示す狙いもにじむ。
与那国島の防衛強化と高まる南西諸島の重み
日本側では、小泉進次郎防衛相が11月23日に与那国島の陸上自衛隊駐屯地を視察し、中距離地対空ミサイル部隊の配備準備を着実に進めていると表明している。島は日本最西端に位置し、台湾本島までおよそ110kmと近く、中国軍機の活動が活発化する中で、日本の防空態勢の「最前線」となりつつある。
南西諸島への部隊増強は、日本が近年掲げる防衛力強化の一環であり、長射程ミサイルの配備計画とも連動する。一方で、中国はこうした動きを自国の周辺に対する包囲と受け止め、反発を強めている。互いに「抑止」を掲げながらも、島々を挟んだ軍備の積み上げが、偶発的な衝突のリスクを高めかねないとの懸念も根強い。
揺れる台湾海峡、島に重なる記憶と不安
台湾側の政府は、中国が掲げる「台湾は中国の一部」という主張を受け入れておらず、島の将来は台湾の人々自身が決めるべきだと繰り返し表明してきた。今回の中国の警告は、そうした立場を支持する国や地域へのけん制でもあり、台湾海峡をめぐる外交・安全保障の神経戦が一段と激しくなっていることを映し出している。
与那国島では過去、自衛隊沿岸監視部隊の配備を問う住民投票が行われ、賛成と反対が拮抗する中で配備容認が多数となった経緯がある。島の生活を守りたい思いと、安全保障上の役割を担わされる不安が複雑に絡み合うなか、今回のミサイル配備計画は、再び島の将来像を問い直す材料として、静かに住民の胸の内に積もっていきそうだ。
