スーダン北ダルフール州マルハ 主体不明の無人機攻撃で10人死亡

スーダン北ダルフールで市場に無人機攻撃、10人死亡

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スーダン西部ダルフール地方の北ダルフール州で12月20日、マルハの市場が無人機で攻撃され、少なくとも10人が死亡した。21日に、現地の救急当局にあたるボランティア組織が発表した。攻撃した主体は明らかにされていない。国軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の内戦は2023年4月に始まり、国連は2025年2月時点で避難者が約1200万人に達したとしている。

市場が焼かれると、食料と現金の循環が止まる

攻撃を受けたのは、混雑する時間帯の市場だったという。現地の「北ダルフール救急ルーム評議会」は、死者のほか負傷者が出て、商店の一部が燃えるなど物的被害も広がったと説明した。マルハはRSFが掌握する地域とされ、前線が動くたびに統治主体が入れ替わりやすい。市場は食料や燃料だけでなく、日雇いの仕事や送金の受け取りといった、生活の「現金化」の場でもある。

この戦争では、病院や水源、避難民キャンプと並び、市場が繰り返し巻き込まれてきた。遠くの戦闘よりも、近所の市場が閉じることの方が家計に直撃する。仕入れの途絶は価格の急騰につながり、食料配給の窓口も細る。救急ルームの担い手は医療者に限らず、運転手や連絡係まで含むが、通信遮断や燃料不足の中で「現場に駆け付ける」こと自体が危険な任務になっている。

無人機の拡大が生む「責任の空白」

今回の発表が示すのは、被害の大きさだけではない。「誰が撃ったのか」が分からないまま犠牲が積み上がる構図だ。Reutersによると、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は12月上旬以降、中部コルドファン地域で無人機攻撃により民間人の死者が相次ぎ、病院などの民間インフラが標的になったケースもあると懸念を示した。無人機は遠距離から運用できる一方、責任追及が難しく、住民にとっては「いつ、どこが狙われるか」を読みづらい。

AP通信やReutersが伝えた国連の報告では、北ダルフール州の避難民キャンプなどでも民間人への深刻な被害が指摘されている。戦闘当事者の思惑がどうであれ、市場が攻撃されれば、戦場から離れた人びとの選択肢から先に消えていく。停戦交渉が進まない中で、少なくとも市場や医療、補給路を守れるのか。加害者不明のまま繰り返される攻撃は、その最低線さえ揺らいでいることを突き付ける。

参考・出典

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