本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。[続きを表示]ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。[私たちの取り組み]
海底の熱水噴出孔にそびえる「チムニー」が、熱を電気に変える“自然の発電装置”として働く——。東北大学の岡本敦教授らは1月16日、深海底で起きる「深海発電現象」の仕組みを、実際のチムニー試料の分析から解き明かしたと発表した。高温の熱水と冷たい海水が接する極端な環境で、発電がいつ、どのように立ち上がるのかが具体化し、深海生態系のエネルギー循環と工学応用の両面で研究の前提が更新される。
成熟チムニーで発電成立 導電層と温度差が鍵
東北大学によると、熱水噴出孔では300度を超える熱水が海水中に噴き出し、金属を含む鉱物が沈殿して煙突状のチムニーが成長する。研究グループは伊豆・小笠原海域の深海底から採取した試料を調べ、チムニーが形成初期は電気を通しにくい一方、成長して成熟すると電気を通すようになることを示した。
ポイントは、熱水の通り道に沿って鉄や銅、鉛などを含む硫化鉱物が膜状に形成され、導電性が増すことだ。さらにチムニーの内側(熱水側)と外側(海水側)に温度差があると、熱を電気に変える熱電変換が働き、電子が海水側へ自発的に移動する。従来は熱水と海水の「化学的な違い」で電気が生まれる可能性が語られてきたが、温度が発電成立に果たす役割が整理された。
深海生態系の電力供給像更新 熱利用発電へ視線
この成果は8日に米国地質学会の学術誌「Geology」に掲載された。早稲田大学の研究活動紹介でも、チムニーの発達段階に応じて発電が立ち上がり、周囲で起こり得る有機・無機反応や生態系への影響解明につながる点が強調されている。
技術面では、熱電変換(温度差から電圧を生む仕組み)を深海の“現場”で成立させる条件が具体化した意義が大きい。熱水の熱は安定して得られる一方、深海はメンテナンスが難しく、装置の単純さと耐久性が成否を左右する。自然物であるチムニーが示した「導電層の自己形成」と「温度差による電力生成」は、深海向け発電・給電の設計思想に新しい手がかりを与える。
今回の意義は、深海のエネルギーを「化学反応だけで説明する枠」から、温度勾配と材料の性質を含めた統合モデルへ移す点にある。今後は、発電が成立する成長段階の再現性、電力が周辺環境の反応や生物活動に与える影響、回収・利用を前提とした工学的な標準化が焦点となる。基礎理解と応用開発を同じ評価軸でつなぐ仕組みづくりが求められる。
